平均律と純正律とピタゴラス音律の違い
「ピアノの和音は本当に綺麗なのか??」というお話です。
「ドミソ」にも色々ある
- ピタゴラス音律
ピタゴラス(紀元前582年 – 紀元前496年)が考案したとされる。音程を周波数比3:2の純正な完全五度の連続から導出する音律。(例えば【ド】を基準にした場合:レ♭←ラ♭←ミ♭←シ♭←ファ←【ド】→ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ#)
部分的には純正律と同じとなる。- 純正律
周波数比が単純な整数比の純正音程のみを用いて規定される音律。特定の和音は綺麗に聞こえるが、オクターブ(完全8度)同士の音は倍音ではなく24セント(半音の半音くらい)のズレがあるため、広い音域での和音ほど違和感が生じる。(これはピタゴラス音律でも同じ)
- 平均律
1オクターヴを均等な周波数比で分割した音律。一般的には十二平均律を指す。十二平均律では周波数比は等しく2の12乗根:1(100セント)となる。
音階 | ピタゴラス音律 | 純正律 | 平均律 |
---|---|---|---|
ド | 1 | 1 | 20/12=1 |
レ | 9/8 | 9/8 | 22/12 |
ミ | 81/64 | 5/4 | 24/12 |
ファ | 4/3 | 4/3 | 25/12 |
ソ | 3/2 | 3/2 | 27/12 |
ラ | 27/16 | 5/3 | 29/12 |
シ | 243//128 | 15/8 | 211/12 |
ド | 2 | 2 | 212/12=2 |
この辺の違いについて、上手にまとめていらっしゃる方がいたのでここに紹介します。↓↓↓
ギターのチューニングが遅い人は耳が良すぎる説
ギターのチューニング方法は主に次の通り。
- ハーモニクス(5フレットと7フレット)を繰り返してチューニングする(純正律)
- 開放弦と5フレットの組み合わせでチューニングする(平均律)
- チューナーを使う(平均律)
精度を上げるつもりで1と2を繰り返して、「チューニングが終わらない!」ってなったことがある人はいませんか?これは純正律と平均律のチューニングを繰り返しているので、理論を知っていれば「合わなくて迷うのは当然」となるのですが、理論を知らないといつまで経ってもチューニングが終わらないので「自分の耳が悪いのかな・・・」となってしまいます。でも実は、こういう人ほど耳が良い。(そう自分に言い聞かせてます)
でもハーモニクスチューニングだけでも平均律に近づけるコツがあるので下の動画を参考にしてみてください。(14分20秒から)
- 3弦と4弦は高めに。これは「ヘッドのテッペンなので高めに調整する」と覚えると良いかも。
- 残りの弦はテッペンより下にあるので「低めに調整する」と覚えると良いかも。
- 最後に、3弦はより高く、2弦はより低く。
ピアノの和音が汚いと感じる人はかなり耳が良い
身近にあるピアノの音色がそもそも汚いという別問題もありますが、それは抜きにして。
(55秒から)
バッハの平均律クラヴィーア曲集も、実際には平均律の正統性を示すものではなくて、最近ではヴェルクマイスター音律のような全ての調が演奏可能な不均等律という見解が強いそうですね。
純正律での各コード進行がこちら(18分18秒から)↓↓↓
やっぱりめちゃくちゃ音が澄んでて綺麗です。
昔は1つの楽器で何でも弾けるほうが都合が良かったので妥協した平均律が台頭したんだと思いますけど、最近ではシンセサイザー等の電子楽器では純正律への切り替えができるモデルも出ているらしいので、更に進化してそれぞれ純正律のコードを組み合わせたりできる電子音楽が流行ったら面白そうですね。
ハイフェッツみたいな一流のバイオリニストはこういう調整をリアルタイムで体感的にしているんでしょうね、きっと。
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