『美味しんぼ』第11話「土鍋の力」の感想

2019年4月30日

1989年1月9日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第11話「土鍋の力」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第11話)

あらすじ

純金の鍋で食べるふぐちり

新しい年を迎え、大原社主ら5人は「ふく万」でふぐ料理を食べます。(ということは、栗田は入社して8ヶ月ほど?)

古九谷に盛ったふぐ刺し身の次に、鶴森会長は純金製の鍋にいれたふぐちりを出します。

鶴森会長

CV: 上田敏也

鶴森運輸の会長。戦後、トラック一台の運送屋からの叩き上げで、現在では宅配便の全国ネットを持つ。政財界にも影響力を持つと言われている。

古九谷(こくたに)

九谷焼の古いもの。1655年頃から九谷村(石川県加賀市)で約50年間作られたとされる。

濃色(赤、青、黄、緑など)を多用している。華麗な色使いと大胆で斬新な図柄を持つのが特徴。

作中で鶴森会長が所有していた古九谷の大皿は、旧華族の名家が秘蔵していたのを譲り受けたもの。気軽に使いたいという目的から、文化庁が国宝に指定しようとしたところを重要文化財にしてもらったという。

ただの成金根性で純金製の鍋を自慢したかっただけなのかと思いきや、「どうも美味しくない、何が欠けているのか」と悩みを打ち明けますが、山岡が「ただの成金から成長した証拠」だと皮肉交じりに褒めると、鶴森会長は激怒します。

「まる一」の土鍋

その日のうちに、山岡と栗田は島さんが営んでいるすっぽん料理屋の「まる一」で30年も使い込んだ店で一番古い煤ぼけた土鍋を借ります。

翌日、5人は再び「ふく万」に集まると、山岡は醤油とご飯と水だけで雑炊を作り、その美味しさで一同を驚かせます。すっぽんの旨味が長年に渡って鍋に染み込み、その雑炊は「まる雑炊(すっぽん雑炊)」の味を帯びていました。鶴森会長は感服し、おかわりを要求します。

更に鶴森会長は、その土鍋と純金製の鍋とを交換してくれと懇願します。

感じたこと

純金の鍋の価格

純金の鍋はアルミ鍋のような極薄ではなく、土鍋のように分厚く描かれています。こんなに分厚いと、たぶん10 kgくらいあるんじゃないでしょうか?

2019年の金相場は約5000円/1 gなので、10 kgだと仮定すると、5000万円くらいですね。

「尻尾が長い!」戸を閉めない士郎とくりこ

鶴森会長との席で士郎が退出するとき、彼は襖を閉めずに立ち去ります。更にそれを追いかけるくりこも襖を閉めずに立ち去ってしまいます。

私は思わず「尻尾が長い!」と思いました。というのも、ドアや戸を閉めない時に母親からそう言われていたからです。

でもそういう躾の言葉は客人がいない時に言うことが多く、各家庭でどんなふうに言っているのかわかりにくいものです。ちなみにこの表現は韓国(꼬리가 길다=尻尾が長い)、ブラジル、スロベニアでも使われているそう。

日本でも、「しっぽが長い」の他にも「けづぬげ=ケツ抜けの訛り(宮城県)」「あとぜき(熊本県)」「ケツ吹かず(北海道)」とか色んなバリエーションがあるそうですが、総じて「素直に『閉めて』と言わずに何か皮肉の1つでも言わないと気が済まない」ようです。面白い。

くりこよりも土鍋が大事

くりこと出前中の自転車がぶつかった時、士郎はくりこよりも土鍋の安否を心配します。

「ひっどーい!私のことはどうでもいいの!?」と心の中で言っています。都合よく解せば「私はあなたに心配されて当然の存在なのに!」ってことですよね?(可愛い)

「まる一」のモデルは京都の「大市」

京都の「大市」(だいいち)

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