『美味しんぼ』第5話「そばツユの深味」の感想

2019年3月27日

1988年11月14日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第5話「そばツユの深味」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第5話)

あらすじ

日本そば屋「竹林庵」

山岡は、栗田の奢りで屋台の日本そば屋「竹林庵」で盛りそばを注文。

花川優作

屋台の日本そば屋「竹林庵」の大将。

挽きぐるみを使った10割そば(100%そば粉で打ったそば)の生蕎麦を目の前で茹でて、水道水で洗った後に清正の井戸の水で更に洗うこだわりよう。

清正の井戸

清正井とも呼ぶ明治神宮御苑内にある井戸。豊臣秀吉に仕えた加藤清正の屋敷があった場所とされる。

東京の名湧水57選のひとつ。

挽きぐるみ

一番粉、二番粉、三番粉あるいは四番粉までを全て混ぜた全層粉のこと。

玄そばを挽いてからふるいにかけてそば殻を取り除く場合と、脱っぷして(そば殻を外して)から製粉する2通りがある。

玄そば

そば殻がついたままの蕎麦のこと。

つゆが蕎麦に負けている

山岡は蕎麦がそう指摘していると、巡回中の中松警部ら警官がきます。最近銀座では、無許可の屋台が増えているといい、この屋台はまだ営業許可証を申請中でした。

中松警部も盛りそばを食べ、山岡と同じ指摘をします。

更科そばのように一番粉だけを使うのとは違い、挽きぐるみを使った十割蕎麦では香りが強く、普通のつゆでは風味が負けてしまっていました。

中松警部は「もしつゆの味が1ヶ月で改善できなかったら許可証の話はナシ」だと条件提示。

山岡は大木一造に働きかける

山岡は東京一有名な老舗、浅草雷門「藪蕎麦大木屋」の大木一造に働きかけ、屋台の大将に大木屋でのつゆの作り方を見せて諭します。

これに参考にしてつゆを作り、中松警部から及第点を得ます。

感じたこと

挽きぐるみ

士郎の言い方では、まるでそば殻を全て粉砕して使っているように聞こえますが、実際にはそば殻を取り除く努力をしています。

極薄の鰹節

濃い出汁が取れない原因の1つに、極薄に削った鰹節を使用していることがありました。

でも業界では、そば用に厚削りの鰹節を使うことは常識で、メーカー側も分厚い鰹節を出しているんですよ。下の動画では、油分の多い荒節を蒸して、熱いうちに暑く削っています。

いくら彼が我流・独学だからといって、これはあんまりじゃないでしょうか。

くりこの士郎に対する恋心

栗田は初めて屋台の席に着いた時、「山岡さんと恋人なんて、失礼しちゃうわ」と心の中で言っています。なるほど、この時点ではまだ恋愛対象ではないんですね。

「大木屋」のモデル

「大木屋」は、実際に東京都台東区雷門2丁目にある「並木藪蕎麦」がモデルです。

大木一造が急に江戸弁になるところがいい

大木一造が声を掛けてきたこれら一連が山岡の差金だと悟った大将を見て大木一造は「おい若いの、あんたの自尊心を傷つけちまったかもしれねぇが」と突然江戸弁で話し始めます。

大将も「山岡さん、俺が強情張ったばかりに」と素直に反省するところがいいですね。泣きそうになりました。昔見た時はそうでもなかった。むしろ「客に対する態度から直すべきでは?」と感じていました。それは今でもやっぱり変わらないのですが、昔に比べてうるっときちゃうのは確かですね。

歳を取ると皆こうなるのかな・・・。

  • 良い若い衆じゃないか 職人は天才的な腕を持っていても商売で成功するとは限らない
  • いちばん必要なのはやる気なんですよ

大木一造かっこよすぎる。