『美味しんぼ』第113話「カジキの真価」の感想

1992年1月21日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第113話「カジキの真価」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第128話)

あらすじ

料理写真に空虚な近城

マユミ、サエコ、レイが大学生ではなくフリーターとはしゃぐ山岡。
一方、フランス料理の写真を撮っていても、どこか空虚なカメラマン・近城勇。

山岡たちは夏子の寿司ともへ。
話を聞くに、近城自身でも足りないものを感じており、写真の対象に迫れていないと悩みを打ち明けます。

帝都新聞学芸部部長の平野法明と社員もやってきたところで近城がカジキの寿司を頼むも、カジキなんぞゴリゴリしていて油臭い場末の大衆食堂で食べるようなものだとバカにされ、過去にも似たような出来事があったことを懐古します。

近城の過去

近城がまだ偉い先生の下でアシスタントをしていた頃に寿司屋でカジキを頼んだところ、食道楽の師匠らに母親までも侮辱されたことで大喧嘩になって退職。

近城の父は勇が幼い頃に他界。母は再婚せず、身を粉にして働くも三度の飯がやっと。それでもたまのご馳走として、皿に綺麗に並べて出してくれたのがカジキの刺し身だった。

カジキは本当に美味しのか、それとも過去の美化なのか。次の世界味めぐりは「突きん棒」に決まります。

突きん棒

突きん棒

漁船で魚を追いかけて銛を投げて仕留める漁。
宮崎、大分、静岡、千葉などで見られる。

4人は近城の出身地・千葉県銚子から少し荒れた冬の海に出て突きん棒漁を写真に収めます。

現像してみると、近城の撮った写真はどれも上手でテクニックには問題なし。しかし、何か物足りなくイマイチ。

気を取り直して寿司ともでカジキの握りを食べると、近城は再び家族でカジキを食べた時の情景を思い浮かべ、食べ物には人の心が込められていることや自分の写真に足りなかったものを実感し、後日、素晴らしい出来の写真を撮ることに成功します。

登場した料理、食材

近城が冒頭で撮影していたフランス料理

フィレ・ドゥ・ル・アラ ヴァプール ソース オー レギューム

フランス語だとfilet de loup à la vapeur sauce aux legumes
かな?日本語で言うとスズキの蒸し物 野菜ソース添え

ユイトル・エ・ポアロー・キュリ

フランス語だとhuîtres et poireaux curry
かな?日本語で言うと牡蠣とポロネギのカレー

(フランス語は前置詞とか複数形とかよく分からん)

マカジキ

身は橙色掛かった桃色。
脂が乗ってコッテリしているのに脂臭くなくしつこくなくて(まり子評)、冷凍マグロにあるようなエゴいようなしつこさもなく、軽い甘みがあって後口がスッキリして爽やか。(クリコ評)

1月と2月、房総沖から三浦半島沖の突きん棒で取れる冬のマカジキは、本マグロも敵わない。
季節外れのクロカワ、シロカワは大して美味しくないからカジキは低くみられがちだが、カジキの真価を云々するためには、真冬のマカジキを食べなければいけない。(士郎評)