エスカレーターの「片側空け」って非合理的過ぎるよね?
エスカレーターは、「急いでいる人が歩いて通れるように」左右片方を開ける「片側空け」が慣例になっています。でもこれってめっちゃ無駄ではありませんか?
たぶん多くの人はこれが悪習だと実感していると思うんです。
もくじ
転倒リスクが高くなる
まず第一に、危険です。というかこれが全てです。「片側空け」はとにかく危険です。
ある人は身体能力が高くて、バランスを崩してもとっさに体勢を立て直すことが出来るかもしれません。
でも病気の方、高齢者の方は体力がありませんし、もしかしたら症状によってはちょっとした接触や揺れで転倒してしまう恐れのある人がそのエスカレーターに乗っているかもしれません。
世の中にはあまり認知されていない病気や症状があることや、多様性を理解し、他者を思いやる気持ちを持ちましょう。
壮大で大げさな話に聞こえるかもしれませんが、そういう思いやりで救えることがあるということを理解するべきです。
巻き込み事故のリスクが高くなる
子供にクロックスを履かせる時は注意
下のツイートは、実際にクロックスがエスカレーターの隙間に巻き込まれる様子を撮影した動画が載せられていて、何万回もリツイートされています。
子供はエスカレーターに乗っているときでも何かをしたくなるもので、壁に靴を擦ったりして遊ぶ子供がいても何も不思議ではありません。ステップの真ん中に立たせて、余計なことをしないように見張ったほうが安全です。
人が歩けるように「片側空け」をしようとすると、不用意に端に立つことになりますし、リスクは高くなります。
クロックスを子どもに履かせてる人は多いけど、エスカレーターにおいてはマジで危険なので広めて欲しい。特にブカブカのまま履いてる人は危険性大。 pic.twitter.com/aCzWyLeGRH
— スパイシービュー (@spaicy_view) 2019年3月16日
クロックス以外でも危険
これは本当にそうで、
— ももたろちゃん (@su7p7rmmtar) 2019年3月16日
僕も新婚旅行で始めてハワイ行った時怪我は無いですが、スリッパお釈迦になりました。 pic.twitter.com/A51mKGRb51
子供でなくても、油断していると大人でも巻き込まれる可能性があります。
建築基準法の階段に関する項目にも違反している
私は建築士の資格を持っているので、建築家としてモノを言わせて下さい。
建築基準法施行令には、階段やエスカレーターに関する規定があります。エスカレーターを歩くという行為は、これらの規定と整合しません。
階段の規定
ややこしくなるので表は載せませんが、第二十三条の表には階段の幅、蹴上げ(1段分の高さ)、踏面についての寸法の制限があって、幅は120 cmまたは140 cm、蹴上げは18 cmまたは20 cm以下にするように規定されています。(でもエスカレーターの蹴上げは20~23 cmあり、この時点でアウト)
また、第二十四条には踊り場の規定が書いてあって、高さが3 mをこえる場合は幅120 cm以上の踊り場を設けなければなりません。
でもエスカレーターって明らかに3メートル以上の高さがあっても踊り場がありませんよね?一方、例えば駅のエスカレーターの横に併設されている普通の階段には踊り場があります。
それってつまり、建築基準法上ではエスカレーターは階段として見做されていない証左ではありませんか?
- 第二十三条
階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法は、次の表によらなければならない。ただし、屋外階段の幅は、第百二十条又は第百二十一条の規定による直通階段にあつては九十センチメートル以上、その他のものにあつては六十センチメートル以上、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く。)の蹴上げは二十三センチメートル以下、踏面は十五センチメートル以上とすることができる。
- 第二十四条
前条第一項の表の(一)又は(二)に該当する階段でその高さが三メートルをこえるものにあつては高さ三メートル以内ごとに、その他の階段でその高さが四メートルをこえるものにあつては高さ四メートル以内ごとに踊場を設けなければならない。
エスカレーターの規定
建築基準法施行令には、エスカレーターに関する基準も設けられていて、幅を110 cm以下(以上じゃないよ)にするように規定します。あんまり幅広く作るなと言っているのです。
- 第百二十九条の十二
エスカレーターは、次に定める構造としなければならない。
- 四号
踏段の幅は、一・一メートル以下とし、踏段の端から当該踏段の端の側にある手すりの上端部の中心までの水平距離は、二十五センチメートル以下とすること。
幅が110 cm以下に制限されています。人間の肩幅は45~50 cmもあり、2人並べばほぼ100 cmになります。立っているだけならまだしも、1人が歩けば接触したり、転倒する可能性があるのは明白です。
関西と関東、右と左
- 関西、国際的
右立ち。関西だと右側に立って左側を空けます。海外でもこの方式がメジャーです。
- 大阪、関西
- 韓国
- 中国
- フランス
- アメリカ
- イギリス
- 関東、全国的
左立ち。関東では左側に立って右側を空けます。日本国内では多くがこの方式です。
- 東京
- シンガポール
- オーストラリア
「片側空け」肯定派に対する反論
以下、見かけた主張に対する私なりの反論です。
- 駅だと、エスカレーターの片側を空けないとホームが混雑して転落する人が出るかもしれない
それはホームを整備していない鉄道会社の責任。そもそも、エスカレーターを2列(1段につき2人ずつ)で運搬するほうが効率が良いのでは?
- 2列乗りだと急いでいる人の邪魔になる
知らんがな。駅のエスカレーターならその人が横に併設されている階段を使ったり、1本早い電車に乗ったら解決します。駅以外なら、5分早く家を出たら済む話でしょう。
日本社会は、始業の時間だけやたら厳密にするのに残業はダラダラする。時間の使い方がおかしいんです。階段として認められていない設備を階段として使うために、他者に対して「邪魔だ!」などの高圧的な言動で強制的に移動させるというのは、法的にもモラルとしてもかなり問題があります。しかもそれで相手が怪我をしたら、裁判でも絶対不利だと思うんですけどね。裁判でも不利になるし、何よりも他者が怪我するリスクを高めてまでエスカレーターを歩いて急ぐって一体どんな用事ですか?
結局、人は弱い
なぜこんな悪習が消えないかというと、周りの人が空けているのに、自分が塞いだら意味がなくなってしまうっていう考えにとらわれているからだと思うんですよね。
「自分だけが違う行動することで、皆がやろうとしていることを阻害している」っていう集団心理。
例えそれが間違ったことであったとしても、皆と同じように行動しないと気がすまない人が世の中にはあまりにも多すぎます。
それってなぜでしょう?自己肯定感が低いから?
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