浴衣で下駄を履こう!

2023年7月4日

浴衣・着物に興味が出てきて和装の下駄について調べたので、備忘録としてここに記します。夏に浴衣デビューしたい人も必見。男女両方に通じる話としてまとめています。

下駄の構造

下駄

木製の台に鼻緒を付けた履物。天生地(足の乗る部分)に畳表などを貼る仕様もある。

下駄はカジュアルな履物

  • 草履=フォーマル
  • 下駄=カジュアル

和装での履物は、これが基本になっています。

フォーマルな下駄

下駄=カジュアルなのですが、調べてみたところ、男性の場合は正礼装として草履(or雪駄)に加えて「下駄も畳表に白鼻緒なら正礼装として可能」とする意見もあります。しかし、現代においては草履のほうが無難だと思います。理由は2つ。

  • 下駄はカジュアルと認識している人が多い。
  • 雪駄や下駄の底はデリケートな床を傷つける構造をしていて、会場やホテルが床や絨毯を傷つけられては困るのではないかと感じるから。(洋装の革靴の釘やカラス仕上げが良くないのと同じように)

なので、下駄や雪駄の場合はどんな場所で履くのかを事前に把握しておく必要があると思うんです。もちろん、上級者が色々分かった上で履くのは自由ですが、少なくとも初心者の方は無理をして雪駄や下駄を履かないほうが賢明だと感じます。コーディネートしてくれる人がいるなら相談しましょう。

草履については別ページでまとめています。↓

着こなし方

浴衣なら素足に下駄

男性でも女性でもこれが定番です。浴衣=カジュアル、下駄=カジュアル、素足=カジュアルで、この組み合わせはとてもカジュアルなファッションです。洋装では、ジーパンにTシャツに裸足にサンダルがとてもカジュアルですが、このスタイルと同じ感覚。

美空ひばりの『お祭りマンボ』にも「粋な素足に絞りの浴衣~♪」という歌詞があるように、浴衣はやっぱり素足の方が涼しげで良いですよね。

着物なら足袋に下駄

着物の時も下駄は履けます。ただし浴衣とは違って、着物は浴衣よりもフォーマルなので、着物の場合は足袋を履くことが前提であることに注意してください。ですが、カジュアルな着物の場合なら、浴衣と同じように素足に下駄でも構いません。特に夏場は裸足で過ごしたいですからね。

そもそも浴衣は着物の1ジャンルに過ぎず、浴衣と着物の厳密な線引がありません。なので、着物がカジュアルなら下駄を履いても違和感がありません。また、フォーマル寄りの浴衣で草履を履くことも可能です。

そこで気になってくるのが「裸足・足袋」、「下駄・草履」、「浴衣・着物」の組み合わせです。

浴衣、着物、草履、下駄の組み合わせ方

まず結論を言うと、服や足がどんな状態でも基本的には下駄を履いても構いません

正統性や一般論で言えば、浴衣では裸足+下駄、着物では足袋+草履を履きます。ですが、カジュアルシーンの場合、組み合わせ方は割と自由です。全8パターンを下に示します。ここでいう正統性とはフォーマルという意味ではなく、そうすることがあるそうしても問題や違和感がない、という意味です。

履物正統性
浴衣素足下駄正統(カジュアルのド定番スタイル)
浴衣足袋下駄正統(浴衣+足袋は全然アリ)
浴衣素足草履アカン(例外あり)
浴衣足袋草履正統(フォーマル感がアップ)
着物素足草履アカン(例外あり)
着物足袋草履正統(最もフォーマル)
着物素足下駄やや正統(カジュアル&注意が必要)
着物足袋下駄正統(定番スタイル)

総じて、服がカジュアルなら、どんな組み合わせでも下駄を履くことができます。

「座敷に上がる予定があるけど自分の素足には自信がない・・・」という人なら「浴衣+レースの足袋+下駄」もアリだし、「ちょっとフォーマルな集まりだから素足はちょっと避けたい・・・」という時には「浴衣+足袋+草履」にすれば上品に仕上げることができます。

例えば、暑い夏ならこういったレースの足袋が涼しげでオススメです。↓↓↓

また、「着物+下駄」の時は基本的には足袋を履きます。「着物+裸足+下駄」も可能ですが、カジュアルな着物に限られます。フォーマルな着物に裸足は厳禁。着物や帯の柄・着こなしで判断しましょう。

訪問先によっては下駄が禁止の場所もある

訪問先の施設によっては、上草履やスリッパに履き替えを求められる施設もあるようです。

例えば図書館や美術館。カランコロンと音がうるさいから、床材が傷付いてしまうから等の理由があります。そういった場面が想定される場合、草履で赴くほうが無難です。

下駄の形状の種類

下駄には色んな形状がありますが、ここでは履きやすくて人気のある形状のものを紹介します。

舟形下駄

舟形下駄

草履のように底に凹凸がなく、横から見ると舟のような形をしている下駄。下駄や草履をまだ一足も持っていないのなら、まずは初めての一足として舟形下駄を買うのがオススメ。理由は次の通り。

  • 構造がシンプルなので、比較的安価
  • 草履に似ているので、浴衣だけではなく着物でもコーディネートしやすい(ただしカジュアルの場面のみ)
  • 季節を問わず、年中履ける
  • 底が平らなので初心者でも歩きやすい、転倒しにくい

二本歯の下駄

ゲゲゲの鬼太郎で鬼太郎が履いてる下駄。このうち、歯も台も1つの木材から削り出した下駄を駒下駄と呼ぶ。歯の部分を別の木材で作って取り付けたものは継ぎ歯下駄、または挿し歯下駄と呼ぶ。画像で赤く示したつま先部分は、歩くときに地面に着いたり擦れても良い。(そうやって歩くように設計されている)

二本歯の下駄は底が凸凹していて地面の段差や凹凸でつまづきやすいので、初心者にはあまりオススメできない。

千両下駄(のめりの下駄)

千両下駄

底面のつま先部分を斜めに切り落とした駒下駄(1つの木材から削り出した下駄)。

画像で赤く示したつま先の底側は、歩くときに地面に着いたり擦れても良い。(そうやって歩くように設計されている)

また、画像で赤く示した部分には鼻緒の結び目を隠す前金(金具)が取り付けられているものがある。この前金は歩くときに潰れてもいいし、取れて無くなってしまっても、そのまま履いて構わない。

前金

すげ替え穴の泥除け、すり減りの防止の役割がある。でもいつかは取れるし、釘穴も残るし、滑るし、最初から無い方がいいという人もいる。

後丸下駄(のめりの下駄)

後丸下駄(あとまるげた、小町下駄)

千両下駄と同じく、のめりの一種で、底面のつま先部分を斜めに切り落とした駒下駄。千両下駄の後歯とは違い、かかとに丸みがあって安定がある。料理人も愛用する下駄。女性用は小町下駄とも呼ぶ

右近下駄

右近下駄

舟形下駄と形が似ているが、土踏まずの部分が欠けていてハイヒールのような形状になっている下駄。

つま先の底がカーブしているので歩きやすい。後丸下駄と舟形下駄の中間のような形状。舟形下駄と同様に人気が高い

おこぼ(ぽっくり下駄)

おこぼ

桐を削り出して作り、底の中心部分は空洞になっている。店出しから間もない舞妓のおこぼの底には鈴が取り付けられていて、歩くと音が鳴るようになっている。

関東ではぽっくり下駄、京都ではおこぼと呼ばれる。他の下駄の形状では、男女に微妙な違いがあるにせよ同じタイプの下駄を履くが、おこぼは女性限定の履物で、七五三の女の子、舞妓・芸姑・花魁などが履く。

千両下駄とは違って、底面のつま先は地面に着けずに歩く。(そもそもつけることが出来ない)

素材の種類

畳表の下駄

畳表(竹の皮を編んだもの)を何層にも重ねて作ったもの。手間がかかるので高価。

胡麻竹の下駄

天に胡麻竹が張ってある。ひんやり冷たいので夏限定の履物になる。

桐素材

無垢の桐素材で作られた下駄は丈夫で軽い。特に桐で作られた草履型の舟形下駄は軽くて履きやすく、コーディネートもしやすいので汎用性が高い。

草履については別ページでまとめています。↓