着物の草履の疑問点を払拭しよう

2023年7月1日

浴衣・着物に興味が出てきて和装の草履について調べたので、備忘録としてここに記します。夏に浴衣デビューしたい人も必見。男女両方に通じる話としてまとめています。

草履の構造

元来は、い草・藁・竹などを編んだ台に鼻緒をすげた履物。また、底に牛革を張り、かかとの底にベタ金を付けたものを雪駄と呼びます。

近代以降ではコルク芯やウレタンの台に、エナメル革・布などを張り、鼻緒を付けた「革草履」が一般普及しています。

草履のフォーマルとカジュアル

履物の仕様や、履く人の性別によってもフォーマル度合いの違いがあります。このページでは主にフォーマルを紹介します。フォーマルを知れば、それ以外であるカジュアルを知ることができるからです。

草履は男女共通で最もフォーマルな履物ですが、その仕様は男女で少し異なります。

男性の場合

鼻緒と台のフォーマル度合い(男性用)
格調鼻緒
フォーマル(最上級)畳表(茶竹表 or 白竹表)白無地
セミフォーマル(1)畳表(茶竹表 or 白竹表)黒・紺・控えめの柄
セミフォーマル(2)革草履(金系・銀系・白系)金系・銀系・白系
セミフォーマル(カジュアル寄り)革草履(金系・銀系・白系)色柄系
カジュアル革草履(色柄系)色柄系

フォーマルな草履の選び方

男性の場合、慶事で最上級フォーマルを目指すなら白無地の鼻緒に畳表の重ね草履ですが、これは他の場面では使いにくいので、「セミフォーマル (1 or 2)」くらいのほうがオールマイティに履けると思います。

調べてみたところ、男性の場合は正礼装として、草履(or雪駄)に加えて「下駄も畳表に白鼻緒なら正礼装として可能」とする意見もありますが、現代においては草履のほうが無難だと思います。理由は2つ。

  • 下駄はカジュアルと認識している人が多い。
  • 雪駄や下駄の底はデリケートな床を傷つける構造をしていて、会場やホテルが床や絨毯を傷つけられては困るのではないかと感じるから。(洋装の革靴の釘やカラス仕上げが良くないのと同じように)

なので、下駄や雪駄の場合はどんな場所で履くのかを事前に把握しておく必要があると思うんです。もちろん、上級者が色々分かった上で履くのは自由ですし、一概に雪駄と言ってもベタガネの無い雪駄もありますが、少なくとも初心者の方は無理をして雪駄や下駄を履かないほうが賢明だと感じます。コーディネートしてくれる人がいるなら相談しましょう。

下駄については別ページでまとめています。↓

女性の場合

鼻緒と台のフォーマル度合い(女性用)
格調鼻緒
フォーマル(最上級)畳表(茶竹表 or 白竹表)帯地(金系・銀系・白系)
フォーマル革草履(金系・銀系・白系)帯地(金系・銀系・白系)
セミフォーマル(標準)革草履(金系・銀系・白系)金系・銀系・白系
セミフォーマル(カジュアル寄り)革草履(金系・銀系・白系)色柄系
カジュアル革草履(色柄系)色柄系
畳表

竹皮を割いて編んだもの。普通の畳にはい草を使うが、草履では竹皮を使う。

畳表の重ね草履

畳表を何重にも重ねて草履にしたもの。現在の革草履が誕生する以前、皮草履と言えば竹皮で作られた草履を意味した。

帯地の鼻緒

帯と同様に作られた織りの鼻緒。

フォーマルな草履の選び方

  • 全体的に淡い印象の台(金系・銀系・白系)
  • 帯地の鼻緒(金系・銀系・白系)

あまり難しいことは考えず、上記の2つさえ守ればオールマイティにフォーマルな場面で使えます。例えば成人式、結婚式、入学式・卒業式などのセレモニー全般に使えます。ただしフォーマル以外では履けません。もしフォーマルとカジュアルどちらにも履きたいなら、無地の白基調の鼻緒と台が無難です。ちょっと金糸が入ってる鼻緒だとフォーマルに寄せれます。

派手なものだと、「赤と黒のコントラストの付いた台+ボア付きの鼻緒」みたいな、いかにも「成人式のために気合入れました」系の草履は、本当にその成人式1回っきりしか履く場面がなかったりするのでレンタルで済ませた方が無難。色んな場面で履きたいならやはり鼻緒も台も白基調が無難。

例えば、カフェぞうり レディースっていうシリーズはカジュアルがメインのラインナップですが、柄や色によってはフォーマル寄りでも通用します。もしもう少しフォーマルにしたいならカフェぞうり fシリーズもオススメです。

台の高さと格調の高さ

まず結論ですが、台の高さと格調の高さは関係がありません

草履は台が高い方が格調が高いという風説がありますが、どの草履専門店もそんなことはないと言っています。あくまでも格調で大事なのは素材や色

こんな風説が流れたのは、(重ね草履のせいでは?)と個人的には感じます。

最もフォーマルな草履は畳表の重ね草履です。コルク芯の構造は大正初期以降で、革張りの草履やエナメル仕上げの革は戦後の技術なので、伝統的ではないと言えます。
格式の高い伝統的な製法の重ね草履は、畳表(竹を編んだもの)を重ねた重芯の枚数によって「四枚草履」や「五枚草履」などがあり、重ねる枚数が多いほど手間と材料がかかるので必然的に高価になります。あくまで推測の域を出ませんが、これが転じて「高価な製法=高級な格式」という認識が生まれたのではないでしょうか?しかし先述の通り枚数が多いからといってフォーマルの格が上がるわけではないのです。

とはいえ、フォーマルな服装をした場合は厚底のほうが引き締まって上品に見えるので、結果的に厚底のものを選ぶことになると思います。

  • 高級な仕様かどうか
  • 格調が高いかどうか
  • 似合うかどうか

この3つは別要素なので、混同しないように注意しましょう。

ただまぁ、何でも伝統を重んじればいいとは思いません。時代劇等の時代考証でそういったことが重んじられる場合もあるでしょうが、例えばもし、現代の革張り技術が過去にあったら、「革張りこそ至高」となっていたかもしれないわけで、江戸時代頃の技術の最高峰を現代でも至高とするのはどうかな、という感じはします。

お洒落を楽しむことを最大の目的とするなら尚の事。コルク芯のほうがフカフカで疲れにくく、ゴム底のほうが滑りにくいですし。素材や製法で優劣をつけるのも楽しみ方のひとつですが、見た目や履き心地を重視することも大事ですよね。

着こなし方

草履なら足袋に着物

草履はフォーマルな履物なので、服も浴衣ではなく着物にするのが基本です。しかし、草履がカジュアルなら、浴衣と合わせることも可能です。ただし、いずれにしても足袋は必須です。

草履に裸足は厳禁

なぜ「裸足+草履」が良くないかというと、主な理由は次の通り。

  • 単純に見た目に違和感が出るから。
  • 皮脂で草履が汚れるから。

草履の天生地は革張りや畳表のように、足脂・油脂・汚れを吸着してしまう素材で出来ています。安物ならともかく、大事に履きたいなら草履の時は足袋を履くべきです。

そこで気になってくるのが「裸足・足袋」、「下駄・草履」、「浴衣・着物」の組み合わせです。

浴衣、着物、草履、下駄の組み合わせ方

まず正統性や一般論で言えば、浴衣では裸足+下駄、着物では足袋+草履を履きます。ですが、カジュアルシーンの場合、組み合わせ方は割と自由です。全パターンを下に示します。ここでいう正統性というのはフォーマルの意味ではなく、そうすることがあるそうしても問題や違和感がない、という意味です。

履物正統性
浴衣素足下駄正統(カジュアルのド定番スタイル)
浴衣足袋下駄正統(浴衣+足袋は全然アリ)
浴衣素足草履アカン(例外あり)
浴衣足袋草履正統(フォーマル感がアップ)
着物素足草履アカン(例外あり)
着物足袋草履正統(最もフォーマル)
着物素足下駄やや正統(カジュアル&注意が必要)
着物足袋下駄正統(定番スタイル)

総じて、裸足+草履さえ避ければほぼ大丈夫です。

裸足+草履の例外

草履の中には、裸足で履くことを前提にしている製品もあります。例えば、カフェぞうりで有名な菱屋カレンブロッソ(大正15年創業の老舗)の鼻緒サンダルとかカフェぞうりサマーは正にそれです。

着物や浴衣以外の普段着でも履けるオシャレなデザインのものが豊富にあるので、浴衣の時にしか履かない下駄を買うより、断然有意義な買い物になるはず。かなりおすすめ。

下駄については別ページでまとめています。↓