動画編集する人やYoutuberはRAIDを組むべきだ!という話
RAIDコントローラーを使ってRAID5やRAID6を組むことで大切なデータをしっかり残そう!
実際に組んだ時の話はこちらにまとめてあります。
もくじ
RAIDを組んだきっかけ
とあるツイートがきっかけでした。ここにはあえて載せませんが「今まで何年もコツコツ集めてきた画像、家族との思い出の写真とか動画が全部消えてしまった・・・つらい」みたいな内容だったかと思います。
個人的には今までストレージが壊れた経験はなくて「複数のHDDにコピーしといたら大丈夫やろ」くらいの感覚でデータ管理してました。要は手動でRAID1みたいな使い方です。2 TBのバックアップ用HDDが1台あれば事足りていたので。
でも上のツイートの件と、これから動画撮影やら動画編集やらする機会が増える中でこのままではいけないと思い始めたんです。
動画を撮る人やYoutuberは必須
最近流行りのアクションカム。
何を撮るかハッキリしてるデジカメとは違って数時間回しっぱなしという使い方の人もいるはず。なので実はデジカメよりもはるかに容量を食うんですよね・・・動画編集用にエンコードすると単純に容量は2倍になります。
私の場合、最近は魚釣りでInsta360 One RとGopro MAXの2台体制で動画を撮っているのですが、釣れる瞬間を録画するにはアクションカメラを回しっぱなしにしなければいけないんです。半日釣行でさえ2台合わせて400~500 GBくらいは使うし、編集時のキャッシュも考えると1回の編集で最低でも1 TBで、余裕を見て2~3 TBは常にストレージにキャパが欲しい。
ストレージの節約を優先するなら動画が完成する度に元データを削除していくのも1つの方法です。完成した動画自体はせいぜい30 GBくらいで、素材を削除すれば1/10以上圧縮できますからね。でも、できるだけデータは残しておきたいし、こまめに消していくにしても常に5 TBくらいのキャパシティを維持したい。また、1動画たった30 GBと言っても1000個集めれば30 TBになりますからやっぱり耐障害性の高い大容量ストレージが欲しくなる。
この辺については瀬戸弘司さんとドリキンさんがまた対談をされていて丁度良いタイミングでその話をされていました。まじで私的には最高のタイミングでした。動画の前半30分くらいまでで「編集後の素材をどうするか」についての話をされています。
最近だと1台で10 TBを超えるHDDも出ていますが、単体で使うと耐障害性が低いし通信速度が遅い。また、SSDは速度が速くても容量が小さいし単体運用では結局は耐障害性が低い。そして単価が高すぎます。そういった消去法で、最終的にRAIDの導入を検討せざるを得なくなる。
耐障害性を優先するならRAID6
撮影動画はその瞬間を捉えたもので再現性がありません。データを失ったら取り戻せない代物ですから、厳重に管理したいものです。
RAID 5:ストレージ3台から組める、うち1台が壊れてもセーフ
RAID 6:ストレージ4台から組める、うち2台が壊れてもセーフ
RAID 10:ストレージ4台から組める、うち1~n台が壊れてもセーフ
なのでRAID 6やRAID 10で組むべきです。私の場合は現時点では14 TBのディスクが4台しかないので速度と容量を優先して2020年9月にRAID5で組むことにしましたが、買い足しで6台以上の体制にする時にはRAID6に移行しようと考えています。(データを保持したままRAID 5からRAID 6にしたり、HDDの台数を増やしたりもできます)
RAID5では気づかぬうちに2台壊れてデータが失われる「サイレントクラッシュ」があるから良くないということらしいのですが、「さすがに2,3年でそれはないやろ(笑)」という楽観視です。
SSDでもRAIDは組める、でも・・・
それは今じゃない気がする。
もし価格が1万円/1 TBから大きく下がったらアリだとは思うんですけどね。だって6台のSATA SSDでRAID 5を組めば、Gen4 SSD並のシーケンシャル速度が得られますから。
でも1万円/1 TBを超える現状では、2~4 GBのGen4 SSD1枚を動画編集専用に確保して、RAIDのHDDにそのバックアップを取るほうがコスパは高いと感じます。(こういう感じで↓)
Gen4 SSD(動画編集に使うメイン)
SAS-SATA HDD(アーカイブ&バックアップ全般のRAID 6)
これなら低コストで耐障害性や速度をバランス良く達成できるのではないでしょうか。
SATA SSDはGen4 SSDに比べるとランダムアクセス性能が低いので動画編集時のメインストレージとして使いにくいし、かと言ってバックアップにはちょっと容量が小さいので使い勝手が悪い。
また、RAIDコントローラーの機種にもよりますが、一般的な民生用なら最大でもコントローラー1台でストレージを16台しか接続できないのに、そのうち6台を容量の小さいSSDに消費するのはちょっと非効率。
「HDDは将来性が低い」とは言えない
HDDは古い、これからはSSDだと考えている人も多いことでしょう。
でもたとえHDDでも10台をRAIDで組めば1000 MB/s以上出すことも可能です。
こう言うと、「でもやっぱりSSDより遅いからアカンやん」という声が聞こえてきそう。でもちょっと待ってください。
現行でもAMDのFuzeDriveやStoreMIのようにSSDとHDDを組み合わせることで大幅に高速化する技術があるんです。
現時点ではRAIDには対応しておらず耐障害性が低いこと等がネックですが、将来これらの技術がRAIDに対応した場合にはRAIDの活用幅が広がるので、決してSATASSDと比較して将来性の低い存在ではないと個人的には期待しています。
RAIDコントローラーを使うメリット
マザーボードだけでもRAIDを組むことも可能ですが、RAIDコントローラー(RAID CARD)を使ったほうが良いと思います。その理由は主に次の点。
理由1. ハードウェアやソフトウェアに依存しない
例えばIntel製のCPUを使っているなら、インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー (インテル RST)のように、対応マザーボードとソフトウェアだけでRAIDを組むことが可能です。でももし途中でAMDのPCに買い換えるとなった際にはその機能は使えなくなります。また、Intel同士の移行でも正常にデータ移行できるのか未知数な部分がありますし、これを安全に回避するには同じ容量のバックアップ用ストレージを用意する必要が出てきます。
一方、RAIDコントローラーを使った場合なら、コントローラーごと引っ越すだけであっさりと引っ越しが済むので安心です。
理由2. SASケーブルを使えば大量のHDDを接続できる
大抵のマザーボードが持つSATAコネクタは多くても6個。SATAケーブルは分岐できませんから、最大でも6台しかHDDを接続できません。また、PCにはOS用のSSDやディスクドライブなどを接続する必要もあるので、そもそも大抵の場合1~2ポートは使えません。
PCIスロットにSATAコネクタ拡張カードを差せば接続数を増やすことは可能ですが、結局PCを引っ越す時に問題が生じやすい。だったら最初からRAIDコントローラーを使う方が賢明です。そういった問題を解決するのに費やす時間やデータを失うリスクを考えると、最初からコントローラーを買ったほうがよっぽど安上がりなんです。
理由3. 買い換えるマザーボードの幅が広がる&安くできる
マザーボードに依存したRAIDを組むと、引っ越す度にRAID対応のマザーボードを購入する必要が出てきます。
RAIDを組めるマザーボードは価格が高い。しかも大抵はRAID 0/1/5/10だけで、RAID6が組めない。下手すると5万円くらいする高いマザーボードでさえRAID 5/6に対応していない(RAID 0/1/10しかサポートしていない)製品もあります。
RAIDコントローラーを買う初期投資は必要ですが、一度買ってしまえば、好きなマザーボードや安いマザーボードを自由に選べますから、長いスパンで考えればむしろ安くで済みます。
ビジョン:2030年に来そうな100 Gbps通信の世界
「RAIDを組む」という話は、単純に現状の耐障害性を改善するだけではなく、「将来どういうPC環境を構築するべきか」というビジョンの話でもあります。
ここからはほとんど体感でモノを言っているので眉唾で読んで欲しいのですが、2030年くらいにはインターネットの通信速度が40~100 Gbpsの世界がやって来そうです。GBに換算すると5~12.5 GB/s。
仮に理論値の半分であったとしても2~6 GB/sで、これでも現行のGen4 M.2 SSD並の速さで、HDDで組んだRAIDの帯域をフル活用できます。
そういう環境において、もし会社や自宅のストレージをインターネットに接続して外部からも常時アクセスできるようにしておけば、現行の内蔵ストレージと同じ速さでリアルタイムにアクセスできることになります。要するに現在のNAS環境の高速版です。
無線通信に関してはあの5G通信規格ですら下りで2~20 Gbps(250 MB/s~2.5 GB/sしかなくて、更に上りは180 Mbps(22~23 MB/s)くらいしかないので一旦ダウンロードしてデータを扱うしかありません。でも次の規格(6G)がそれを打破してくれることを期待したい。
- 第6世代移動通信システム(6G)
2020年時点では具体的な内容は定まっていないが、100~1000 Gbps(5Gの10~100倍)、中国では1 TB/sとも報じられている。(=8000 Gbps)
遅延は0.1~1 ms。
つまり6Gの世界なら、有線は現状のPCI Express 3.0以上の通信が可能。(8レーン換算で)
無線でも下り10~1000 GB/s、上り200 MB/s~2 GB/sが期待できそう。
そうなると、現状では出先にスペック不足のラップトップを持っていって無理して編集する状態でも、将来は会社や自宅にある母艦PCを遠隔操作するようになりそう。遅延が小さいなら、わざわざデータをダウンロードしたりアップロードする必要すらなくなってきます。仮にそれが無理でも、母艦から素材を自由にダウンロードすることは可能なので自由度は圧倒的に高まります。
或いは、現在でもDaVinci Resolve Project Serverで複数人が共同編集しているのと同じように、サーバーに元データを置いた上で、各編集者が外部から各自のPCで編集したものをサーバーで管理する世界はすごく便利ではありませんか?まぁ、これは現在でも可能ですが、現時点では社内ネットワークが主流ではないでしょうか。現在のDaVinci Resolve Project Serverすら使ったことがないのでユーザビリティを比較しようがないのですが、高速で低遅延になれば外部からのアクセスが普及しても不思議ではありません。
その時、24時間稼働できる高耐久のNAS(Network Attached Storage)がもっと注目されるのでは?と感じているんです。
実際にどうRAIDを組む?
実際に組んだ時の話はこちらにまとめてあります。
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