R-1、LG21で酸っぱくない自家製ヨーグルトの作り方

2019年4月19日

最近、LG21を種菌にして自宅でヨーグルトを作り始めました。なるべく酸っぱくない作り方です。その方法や自家製を作ろうと思った経緯などを紹介します。作り方だけ知りたい人はこちら

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酸っぱくないヨーグルトの簡単で美味しい食べ方はこちら↓↓↓

最初に読んでほしいこと

ヨーグルトのような健康食品などの話について触れる時、「これを食べたら〇〇が治った」とか「〇〇の予防になる」と、他社製品よりも効能があることを誇大に言うことは景品表示法で禁止されています。書き方によっては健康増進法にも抵触します。

ここでは主に明治R-1を推奨していますが、その理由はR-1の健康効果が高いからではなく、R-1は製造時の菌種が少ない(R-1菌以外の菌が使われていない)から、反復してヨーグルトを作る時に菌の管理がしやすいからです。

経緯

以前までは安いヨーグルトをスーパーマーケットで買ってました。(商品名は忘れた)
健康やダイエットが目的で買っていたんですけど、ちょっと酸っぱいし、いかにもヨーグルト臭いしどうも好きではなく、美味しく食べるためには砂糖がたくさん必要でした。なので、ここ1年くらいは止めていました。

十数年前にも自家製ヨーグルトを作っていたんですけどいつのまにかやめちゃっていました。その時も酸っぱいヨーグルトでした。やっぱり美味しくないと継続できない。

地中海食でもヨーグルトが食される

それで最近、赤ワインは健康に良いか?という話の中で「地中海食が長生きや健康に良い」っていうことを知ったんです。(ヨーグルトは地中海食の食材の1つ。)

「あー、ヨーグルトはやっぱり健康に良いのか、再開しようかな」と思っていた矢先、ヨーグルトの宅配サービスのかたがサンプルでR-1やLG21をくれたので食べてみると、以前に買っていたヨーグルトより明らかに滑らかで風味も全然臭くなくて美味しいので「これ自家製で作ろう!」と思ったわけです。ちなみにR-1とLG21は両方とも明治(明治乳業の後身)のヨーグルトです。

EPSが健康に役立つ

ヨーグルト菌は発酵する時にEPSという多糖体を産生します。これが身体の健康に役立ちます。

EPS(Exopolysaccharide, エクソポリサッカライド, 菌体外多糖)

ヨーグルトの菌が発酵時に作り出す高分子で、海草、野菜、キノコにも多く含まれる。食物繊維も多糖体の一種。免疫賦活作用(免疫作用、免疫応答を強くする働き)がある。

また、EPSはヨーグルトのボディ(味の濃さ)、まろやかさ、クリーミーさを与える働きがあるため、低脂肪乳でも美味しくすることができる。

多くのEPSにはゴムと同じ特性がある。

風邪やインフルエンザの予防

私はこの手の話をすぐに疑うクチなので「いやホンマかいな」って思ったんですけど、これは「明治 食機能科学研究所の総説」の14ページ目にも載っています。1

ここで素人の私がごちゃごちゃ書くと、健康増進法に抵触するのでは?とも思うのであれこれ書きません。気になる方は当該総説の14ページを読んでみてください。

小腹が空いた時に便利

善玉菌の働きも期待できますし、小腹が空いた時にも空腹感を手軽に満たすことも出来るので便利です。

胃粘膜の炎症を改善

LG21に使われている乳酸菌OLL2716株を使った実験では、胃粘膜の炎症を改善する働きも確認されています。2

主要FD症状の除去

機能性ディスペプシア(FD)の症状の除去|明治

機能性ディスペプシアとは、内視鏡検査などで疾患が見られないにもかかわらず、胃の痛みやもたれ感、不快感などを覚える疾患。
LG21に使われているOLL2716株のヨーグルトだと、プラセボで使われた普通の乳酸菌ヨーグルトよりも改善率が高い。

腸内微生物の移植が、自閉症スペクトラムの症状を軽減する:研究結果(wired.jp)

ASD(自閉症スペクトラム)の子供に腸内微生物を移植したら、腸内細菌の種類が多様化し、ASDや消化器系の症状が改善したという研究結果。

このWIREDの記事は腸の状態が脳に影響を与えることを示唆する研究結果ですが、「ヨーグルト食べたら治った」という話ではないことに留意してください。

赤ちゃんの離乳食初期にも使える

プレーンヨーグルトは生後7~8ヶ月を過ぎた離乳食初期の赤ちゃんも食べることが出来る食品(グリコのページ)です。ただし無糖のプレーンに限る。もちろんハチミツ入りは与えてはいけません。

高齢者だけじゃなく、どんな年齢の人にもヨーグルトは役立つ食材と言えます。

自家製のほうが圧倒的に安い

例えばR-1は112 ml 12本まとめ買いで1464円。牛乳は商品にもよりますが1000 mlで約220円。

コスト比較
比較対象1 mlあたりの価格1 Lあたりの価格毎日1 Lで1ヶ月毎日1 L*365日
R-11.09円1090円32700円397850円
牛乳0.22円220円6600円80300円
差額0.87円870円26100円317550円

毎日1 Lというのは結構な消費ですが、家族が多い我が家では毎日1 L消費していて、1日だけでも870円の差があります。365日続ければ約32万円も差が出ます。めっちゃ大きくありませんか!?

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各ヨーグルトと使用菌株

各ヨーグルトと乳酸菌の種類
メーカー商品名菌の種類酢酸の少なさ自家製での扱いやすさ情報元
明治R-1乳酸菌ブルガリア菌1073R-1株ソース
明治LG21乳酸菌ガセリ菌OLL2716株+その他の乳酸菌ソース
Yakultヤクルト乳酸菌カゼイ菌シロタ株(L.カゼイYIT 9029)ソース
雪印メグミルクナチュレ 恵 megumi乳酸菌+ビフィズス菌ガセリ菌+ビフィズス菌ガセリ菌SP株+ビフィズス菌SP株ソース
DANONEダノンビオビフィズス菌+乳酸菌BE80+lactococcus lactis, Streptococcus thermophilus, Lactobacillus bulgaricusソース
江崎グリコBifixビフィズス菌+その他乳酸菌BifiXGCL2505株ソース

ビフィズス菌でもヨーグルトは作れます。我が家でも乳酸菌のLG21とR-1とビフィズス菌のダノンビオを使って自家製ヨーグルトを3種類作っています。ただ、LG21やダノンビオなど複数の菌を使っている場合は市販と同じような菌のバランスにする再現がより難しいんじゃないかなぁという感じはします。

LG21よりもR-1のほうがいい

色んなヨーグルトがありますけど、使うならR-1が無難です。

LG21などはOLL2716株のほかにも違う乳酸菌も使っていますが、R-1は1073R-1株だけを使っているからです。もちろん、どれでもヨーグルト自体は作れます。

ただし、LG21のOLL2716株は酸素に弱いので、家庭で培養すると他の乳酸菌が勝ってしまう可能性があり、再現が困難です。R-1のほうが取り扱いやすいと思います。

乳酸菌とビフィズス菌の違い

2つの大きな違いといえば、乳酸菌は空気があってもなくても生きることが出来るけど、ビフィズス菌は空気に触れると死滅するということでしょうか。

「ビフィズス菌は偏性嫌気性菌だから空気に触れたら死滅するから自家製は無理or難しい」という人はチラホラいますけど、私はそうは感じません。

だって、自家製のぬか床だって容器の底・上・真ん中でそれぞれ偏性嫌気性菌、好気性菌、通性嫌気性菌が棲み分けてて、どの菌も生きているからです。毎日ぬか床をかき混ぜる理由は、酢酸菌みたいな偏性嫌気性菌と枯草菌(納豆菌など)のような好気性菌を減らすためです。

牛乳パックでヨーグルトを作るなら、底の方は全く空気に触れることなく嫌気状態を長時間維持できるので、ビフィズス菌もちゃんと培養できているはずです。(ビフィズス菌と会話をしたわけじゃないけど)
もちろん、ビフィズス菌ヨーグルトには乳酸菌も使われていて乳酸菌が勝ってしまう可能性もありますけどね。

酸味の差は酢酸?

乳酸菌は酢酸を産生しませんが、ビフィズス菌は乳酸菌と大量の酢酸を産生します。でも酸っぱさの原因にもなる酢酸は腸内の悪玉菌をやっつけてくれます。

LG21とダノンビオをそれぞれ別に培養して食べ比べてみました。自宅なので完全に同じ培養環境に出来たワケではありませんが、ダノンビオは酸味が強く、LG21は酸味が弱くて甘い味でした。もう全然違いました。なので、ちゃんとビフィズス菌も培養できているんじゃないかなぁと感じます。(発酵時間や環境による酸度の違いかもしれませんけど)

美味しさが1番大事

腸内のビフィズス菌の割合は加齢と共に減少します。一方、乳酸菌の割合は加齢と共に増加します。

でも「高齢だから酸っぱくてもビフィズス菌ヨーグルトを食べなきゃ!」とか「若いから乳酸菌ヨーグルト食べたほうがいい!」とかは考えないほうがいいと思うんですよね。どちらか一方だけを摂るよりも両方摂ったほうが良いでしょうし、何よりも、美味しいと思うヨーグルトを食べたほうが長続きするからです。

以前にも面白いと思う心が大切なんだって話を紹介しましたけど、ヨーグルトの場合も、正しさよりも美味しさの方が重要なんですよね。

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市販と全く同じものは作れない?

明治はR-1について一般家庭ではこの商品と同等量のEPS(多糖体)を作り出すことができないと考えられます。と回答しています。

端的にいうと、自家製を作るにあたって、「市販と全く同じ効果や栄養分を持つヨーグルトが作れるとは思わないほうがいい」ということです。でも落ち込む必要はありません。自家製なら大量に作れて量でカバーできるからです。

それに、市販のに近づける方法はあります。それは以下で紹介する酸っぱくないヨーグルトの作り方にも通じる話です。

酸っぱくないヨーグルトの作り方

大事なポイントは次の3つです。

  • ビフィズス菌ヨーグルトではなく、乳酸菌ヨーグルトを使う
  • 低温でゆっくり発酵させる
  • 完全に発酵させない

ここでは乳酸菌1073R-1株で出来ているR-1ヨーグルトの使用を前提に説明します。牛乳パック内で作ります。

必要なもの

  • R-1など市販の乳酸菌ヨーグルト
  • 牛乳(1 L
  • 砂糖大さじ2杯~3杯(グラニュー糖か上白糖。無くても作ることは可能)
  • ヨーグルトメーカー

初めて作るときの手順

  1. 未開封の冷えた牛乳パックを電子レンジに入れ、500 Wで3分温める(これで人肌の温度35℃くらいになる)

  2. 牛乳を100~200 ml取り出す

  3. 市販のヨーグルト100 mlほどをよく潰して柔らかくしてから投入する(飲むタイプはそのまま投入)

  4. 蓋を閉じて上下に数回振って撹拌する

  5. ヨーグルトメーカーにセットして、35℃~37℃程度で6時間~18時間発酵熟成させる(ヨーグルトっぽい硬さが出るまで)

  6. 数時間放置して粗熱を取る

  7. 冷蔵庫で冷やす

撹拌には熱湯消毒したスプーンを使う人もいますが、固形タイプを混ぜるには底まで届かないのであまり意味がありません。熱湯を用意する手間も面倒です。

牛乳パックを振ったほうが雑菌が混ざるリスクも減らせて効率的です。しかも、スプーンを中に落としてしまう失敗も無くなります。そもそも混ぜなくてもヨーグルトはちゃんと出来ます。私の場合は砂糖を多めに入れるので、糖分を均一化するのが撹拌の主な目的です。

時間幅が大きい理由

  • 食べごろのタイミングは人によるから

  • ヨーグルトメーカーの温度設定はそんなに精巧ではなく、環境によって温度が大きく異なり、培養条件も変化するから

継続して作る場合

  1. 未開封の冷えた牛乳パックを電子レンジに入れ、500 Wで3分温める(これで人肌の温度35℃くらいになる)

  2. 前回作ったヨーグルトの容器(牛乳パックなど)に100~200 ml牛乳を入れ、砂糖を大さじ2~3杯加える

  3. 砂糖が溶けるように、蓋を閉じてよく撹拌する

  4. 残りの牛乳(800~900 ml)も前回の牛乳パックに少しずつ入れて撹拌する

  5. 再度新しい方の牛乳パックに戻す(これらの工程は撹拌が目的)

  6. ヨーグルトメーカーにセットして、35℃~37℃程度で6時間~18時間発酵熟成させる

  7. 数時間放置して粗熱を取る

  8. 冷蔵庫で冷やす

移植するヨーグルトはごく少量でも大丈夫です。前回作った容器の周りに付着しているヨーグルトのカスだけでも十分に培養は可能です。

ただし、あんまり少なすぎると発酵の立ち上がりが遅くなり、完成まで時間がかかりやすくなります。50~100 mlくらいは次回分に残しておきましょう。

ホエーの切り方

ヨーグルトやバターを作ると、牛乳は固形分とホエー(少し黄色い水)に分かれます。ホエーにはミネラルも含まれているのでヨーグルトと一緒に食べても良いのですが、濃い味や硬いヨーグルトを食べたい場合はホエーを捨てたほうがいいです。我が家ではこんなふうにホエーを捨てています。

ホエーを捨てている様子

牛乳パックの蓋をして、キッチンシンクの縁にゆっくりと倒して30分~1時間放置するだけです。フタが開いてドバァってなるのだけ注意してください。

牛乳パックを電子レンジで温めてもいいのか

「ヨーグルトメーカーにセットする時点で牛乳が温かいほうが発酵が早いはず」、と考えるのはごく自然な道理です。1番手っ取り早く牛乳をパックごと温めるには、開封せずに横に倒して電子レンジで加熱することです。

でも気になるのは「牛乳パックの内側のコーティング材は溶けたりしないのか?」という心配です。でも結論から言うと大丈夫です。
牛乳パックはポリエチレンラミネート(紙を両面から極薄のポリエチレンで挟み込んだもの)で防水加工されていて、これは110℃~130℃で溶け始めます。30℃程度なら溶けません。

私が小学生の頃はパラフィンワックスが防水に使われていると認識していたのですが、今ではポリエチレンラミネートが普通なんでしょうか?この辺はちょっと詳しくないので分かりません。
でもあくまでも補助的な保温に留めたほうが安全ですね。例えば500 Wの出力で長くても3分程度です。

牛乳を温めすぎてしまうと、ヨーグルトを投入した時点で乳酸菌が死滅してしまいます。低温発酵させるためにも40℃を超えないように注意しましょう。

電子レンジ加熱に関する追記

私は段々時間を伸ばしていて、最近では4分00秒温めてます。2分くらいで1回取り出し、パックを振って温度を均一化してからもう1度温めています。局所的に熱くなると牛乳パックのポリエチレンラミネートが柔らかくなってパックが変形しやすくなってしまうからです。

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乳酸菌とEPSの培養条件

発酵温度と発酵時間

酸っぱくないヨーグルトを作るには40℃以下で温めるんです。35℃~37℃くらいで6時間~18時間の熟成が良いかもしれません。

なぜ40℃以下かというと、普通のヨーグルトは40℃~45℃で発酵させますが、乳酸菌1073R-1株の場合は低温でじっくり発酵させたほうがEPSの量が増えるからです。これは明治の論文の中では37℃で18時間培養した話が紹介されています。

また、固まり始めたあとも発酵を続けると、どんなヨーグルトでもどんどん酸っぱくなるので、必要以上に発酵させないことが大事です。でもR-1の場合だと、完全に発酵させてもそこまで酸っぱくなく、とても扱いやすい。

プルプルしたヨーグルトの作り方

これは経験則です。
私はR-1を使って30~35℃で10~12時間+更に余熱~常温で3~6時間=合計最大18時間くらいで作っているのですが、40℃で8時間で作るよりも断然なめらかで粘り気の強いプルプルした食感のヨーグルトを作ることができます。山芋や自然薯みたいな強い粘り気が出てきてクリーミーで、いかにもバイオフィルムたっぷりって感じですごく美味しいので試してみてください。

ただし、あまり過剰にやりすぎると酸っぱくなったり、違う菌が台頭してきて食あたりに合う可能性もありますからほどほどに。うちでも40℃で24時間発酵させて1回失敗したことがあって、風味がバナナっぽく変化してしまいました。しかもそれを種菌にすると、ずっとバナナ風味。

そのほうが好きだという家族もいましたけど、私が苦手だったので市販のR-1から作り直しました。プルプルした食感は維持できていたので、EPSの量は維持できていたのではないかと考えられます。

とにかく味とか匂いが市販から作った1代目と明らかに違ったり臭くなってきたらすぐ作り直すのが無難です。

あと酸味が強くなると乳酸菌が死滅しやすくもなるので、その点も注意した方がいいかもしれません。(R-1の菌株にどれくらいの酸耐性があるかは分かりませんけど)

もう1つの要因は菌株の違いでしょうか。

  • R-1:粘り気が凄く強い。低温長時間発酵だと特に強い。(EPSが豊富だからかも)
  • LG21:少し粘り気がある。(R-1に比べると全然弱い)
  • ダノンビオ:あんまりない、少しボソボソした感じすらある。(ビフィズス菌だと酢酸が出るせいかな?)

乳酸菌の死滅温度

この温度は乳酸菌に限りませんが、参考にしてください。

殺菌温度と時間の目安
温度時間備考
130℃2秒牛乳を殺菌するときの方法
72~78℃15秒パスチャライゼーション(牛乳の高温短時間殺菌、HTST法)
63℃30分パスチャライゼーション(牛乳の低温保持殺菌、LTLT法)
45~50℃乳酸菌が急激に発酵する温度
35℃~40℃発酵は緩やかだが、EPSが豊富になる発酵温度

作業に使うスプーンなどの熱湯消毒だと100℃ですから、高温のパスチャライゼーションと同じように15秒も殺菌すればかなり殺菌できるはずです。

発酵終了酸度とEPSの量は正の相関

ヨーグルトの酸度とEPSの量はほぼ比例します。

発酵終了時の酸度が高いほど、EPSは多いです。ということは、EPSがたくさん含まれているヨーグルトを作ろうとすると、自然と酸っぱくなっちゃうということです。同時に、「これくらいの酸っぱさならこれくらいEPSが含まれている」という制御や管理も可能です。

無脂乳固形分が多いほうが良い

牛乳の成分は88%が水で、その他の固形分は乳脂肪分と無脂乳固形分です。無脂乳固形分とは、例えばタンパク質、炭水化物、ミネラルなどのことです。これらの無脂乳固形分が多いほうが、ヨーグルト菌は発酵時にEPSをたくさん産生します。つまり、牛乳に何か無脂乳固形分を加えたほうが甘くなるということです。

ということは、砂糖を入れるなら発酵後よりも発酵前のほうがEPSの増加に貢献するのかな?参考文献にはそこまでは明言されていませんでした。

でも、砂糖はヨーグルト菌の栄養源にもなりますし、固まったあとで混ぜるよりも楽なので、いずれにしても砂糖は発酵前に入れたほうが何かと便利ですよ。あと、経験則から言っても砂糖を入れたときの方がプルプル感は強いです。もちろん低温長時間発酵が必要です。

経験則:砂糖を入れたほうが発酵成功しやすい

失敗とは、本来のR-1のような良い香りが失われて、苦味のある臭いヨーグルトが出来ることです。違う菌が台頭してしまっているのでしょう。この失敗は砂糖を入れたときのほうが少ないです。

砂糖を入れると雑菌の混入リスクは上がりますが、砂糖に牛乳を加えてレンジで沸騰させたりして殺菌すれば解決します。

酵母エキスやホエーペプチドは逆効果

一般的には、乳酸発酵を促進するときには酵母エキスなどが併用されます。でも、これらを添加するとEPSがあまり作られなくなります。

これは、乳酸菌1073R-1株がEPSを作り出す前に酵母が先に発酵しているためだと考えられています。

ということは、乳酸菌1073R-1株の純度が下がるとEPSの産生量が減りやすい。自宅で作る場合は違う菌が混入して繁殖してしまう可能性もありますから、機会があれば定期的に市販のヨーグルトから作り直すことでリフレッシュしたほうが良いかもしれません。

18時間発酵なら毎日作れる

18時間なら、冷蔵庫で冷やす時間を加えても毎日24時間でローテーションが可能です。もちろん、冷やさずに酸っぱいのを食べたいのなら更に発酵時間を増やしても良いんですけどね。

まとめ

自家製だからこそ低温&長時間発酵

ヨーグルトの生産者は短時間でたくさんのヨーグルトを作りたいと考えています。そうじゃないと儲からないし、安くで提供もできないからです。

乳酸菌1073R-1株は低温発酵でも高温発酵でも、いずれにしても発酵が完全まで進むと酸っぱくなります。それはこの菌の特性だからどうしようもありません。企業レベルで緩衝剤を開発するとかなら話は別ですけど、発酵しても酸っぱくないヨーグルトを作るには違う菌を使う必要があります。

少なくとも現状において、自宅で乳酸菌1073R-1株を使って、酸っぱくなくてEPSがたくさん含まれているヨーグルトを作りたいのなら、低温長時間発酵で、しかも完全発酵の手前で食べることです。

温かいヨーグルトは酸味が和らぐ

もし、なるべく酸っぱくないヨーグルトを食べたいのなら、発酵を控えめにするのと同時に、冷やさずに食べることです。乳酸は低温だとトゲトゲした酸味になりますが、常温前後だと爽やかな酸味に感じられるからです。

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参考文献