『美味しんぼ』第31話「暑中の味」の感想
1989年8月14日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第31話「暑中の味」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第39話)
もくじ
あらすじ
東西新聞の乗っ取り危機
東西新聞社の創業は、現在の社主である大原大蔵の曽祖父・大原光堂と下畑秀幸、君川誠一郎によるもの。
株式は非公開で、保有者と保有率は次の通り。
保有者 | 創業時 | 現在 |
---|---|---|
大原家 | 50% | 30% |
下畑家 | 25% | 18% |
君川家 | 25% | 18% |
社員持株会 | 0% | 34% |
しかし、下畑家が18%全株を野呂金吉に譲り渡していたことが発覚。社内は騒然とします。
- 野呂金吉(のろ きんきち)
海外の兵器会社絡みの汚職で有罪になった「金のためならどんなことでもする」という男。
大原社主の夏バテ
ところが肝心の大原社主は、敵対的買収に対抗すべく寝る間も惜しんで働いたところに猛暑が襲い、夏バテで倒れます。
- うなぎ
- スッポン
- まむし
- ニンニク
- 朝鮮人参
精力剤と名のつくものを手当り次第試したもののダメだった大原社主は、「胃腸の回復を図るのが先決」と山岡から「お粥」を提案されますが、強烈な拒絶反応。
ところが、山岡の用意したお粥はとても美味しくて、大原社主はぺろりと平らげてお替りまでします。
体調を持ち直した大原社主は君川氏を説得することに成功。野呂も買収を諦めて、大原家と持株会に株を売却して撤収することになります。
登場した料理、食材
山岡士郎の作ったお粥
- 米
天日乾燥され、宮城県の農産物管理センターで徹底的に管理され、水車による低温下で精米された米。
- 水
鉱泉水を使用。
感じたこと
株式の保有者と保有率は漫画とは異なるみたい
保有者 | 創業時(アニメ) | 現在(アニメ) | 創業時(漫画) | 現在(漫画) |
---|---|---|---|---|
大原家 | 50% | 30% | % | 30% |
下畑家 | 25% | 18% | % | % |
君川家 | 25% | 18% | % | % |
社員持株会 | 0% | 34% | % | 40% |
二都銀行 | 0% | 0% | 0% | 30% |
おそらく漫画とアニメで保有率が違う理由は、実際の会社法や独禁法に則った形にしたほうが自然だということになったからではないでしょうか?漫画の保有率だと、二都銀行が30%も持っていて、現行法と整合が取れなくなっちゃうので。
- 独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の5%ルール
金融機関(銀行または保険会社)が、国内の一般事業会社の総株主の議決権の(原則)5%、保険会社の場合は10%を超えて保有することを禁じる制度。
お粥の話が短い
こだわったのは食材だけでちょっと物足りなかった。
いくら徹底管理したと言っても古米は古米。いつもの調子ならきっと、炊き方、器、味付け、添え物までこだわり抜いたという話まで出そうなものですが、それも無かった。
いやね、お粥をいつもの料理とは切り離して、「よりシンプルでより庶民的に、無駄なものは要らない」というコンセプトの回にしたかったというならそれまでなんですけど。
社主の粥嫌いは戦中戦後のトラウマかと思ってた
10歳くらいの頃にTVで観てた時は、大原社主がお粥嫌いなのは若い頃に重湯を食べてばかりだったからトラウマになったのかと無根拠に思ってました。というのも、連載開始時の1983年1話の時点で72歳らしい大原社主の誕生年は逆算すればざっくり1911年頃のはずなので、1945年の終戦の頃には34歳。戦中から戦後の闇市で粗悪な米を、しかも食糧事情から毎回延ばして食べていたのだとしたら仕方のないこと、と思っていたんです。
でも星村大作外相を後輩に持ち、新聞社の創業者のひ孫なので、改めて観てみるとそういう環境は考えられないですよね。
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