『美味しんぼ』第66話「究極VS至高・黄身の実力」の感想

1990年10月23日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第66話「究極VS至高・黄身の実力」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第79話)

あらすじ

人の心を感動させるのは、唯一、人の心をもってのみできる

第1回目の究極VS至高対決は、雄山の「黄身の味噌漬け」が圧勝の様相。雄山は、使ったのが高品質な初卵だと明かします。

士郎は「初卵が美味しいというのは神秘化された迷信にすぎない」と反論しますが、初卵にこだわった理由について雄山は「自然養鶏と言ってもその飼育管理にはピンキリであり」、「初卵は徹底管理されている現れのひとつに過ぎない」と諭します。

更には、究極至高メニューは、「美味しい」という表面的で一時的なことではなく、その徹底したこだわりや食文化の後世への継承なども見据えた、人の心を感動させる料理でなければいけないと。

唐山陶人「どうせならもっと豪華な遊びを」

雄山の説教は尤もらしいものでしたが、唐山陶人は「食材だけ優劣を決めるのもつまらん」と指摘。

後日、雄山から提供された初卵で作り直した「ゆで卵トリュフソース」は黄身だけを使ったものに変更されていて、雄山陣営の「黄身の味噌漬け」より洗練されていました。

経緯と唐山陶人の指摘も踏まえ、第1回目の対決は引き分けに終わります。

登場した料理、食材

第1回・究極VS至高「卵を使った前菜」

究極VS至高 戦績表
対決回話数テーマ究極勝敗至高
165, 66卵の前菜ゆで卵トリュフソース卵の黄身の味噌漬け

究極のメニュー

ゆで卵トリュフソース(初回版)

軽く茹でたゆで卵に、トリュフソースを継ぎ足して食べる。トリュフは空輸で取り寄せた最高級品。卵も自然養鶏から採取。

ゆで卵トリュフソース(改良版)

トリュフソースの中に黄身だけを入れたもの。使用した卵は海原雄山から提供された最高級の初卵。

至高のメニュー

卵の黄身の味噌漬け

敷き詰めた味噌の真ん中にガーゼを引いて卵の黄身を置き、更にガーゼを被せて味噌で包み込み3日ほど熟成させたもの。

美味しさの秘訣は味噌の選定にある。八丁味噌のように渋くてはダメ。しかし白味噌のように甘くてもダメ。すっきりとした赤味噌に甘みをつけたい。そこで大豆から選んだ。

赤味噌は2年ものの富山 艶麗大豆味噌。

白味噌は秋田の白千成。

これを白味噌の甘みが目立たない程度の合わせ味噌にする。

鶏卵にもこだわった。品種はゴトウ130白色レグホンより産卵数は少ないが卵の味が濃いという。餌としてクズ米、麦、米糠を主体に与えて、屋外飼育したもの。さらに初卵のみを使用

感じたこと

玲瓏なること玉の如き味だ

「黄身の味噌漬け」に関して谷村部長が「れいろうなることたまのごときあじだ」と評していたんですが、とにかく洗練された味ということでしょうか。

玲瓏玉の如し

金属や玉同士などが触れ合った時に出る冴えた美しい音。

音声が澄んで響く様子。

玉などが透き通り曇りのないさま。

出しゃばるクリコ

黄身の味噌漬けの美味しさに驚いた士郎はその製法を知りたがります。

  • 士郎:何故なんだ・・・
  • 雄山:知りたいか士郎?良いだろう。しかし忘れるな?私がその秘密を明かすということは、取りも直さずお前が負けを認めたということになるんだ。それでも知りたいのか士郎。
  • 士郎:うぐ・・・
  • くりこ:教えてください!

いやいや勝手に話を進めんなやっ(笑)

雄山の初卵解説

雄山「ひよこの時から蓄積されてきた栄養素の中でも価値のあるものが含まれている・・・・という説があって、珍重する人が多い」

士郎も「科学的根拠に全く乏しい」とツッコんで、雄山本人もそれを認めたこの話ですが、言い方が面白すぎる(笑)

それにしてもこの行はいつ観ても良いですね。こだわり方とか親子対決とか、美味しんぼの醍醐味が詰まっている名シーンです。

雄山の高笑い

  • 士郎「数段上のゆで卵トリュフソースを作ればいいんだろ!」
  • 雄山「大口叩きおって・・・んふふふ・・・はははははは(パパうれちい~)」

そんな風に思えて、このやりとりにほっこり。