『美味しんぼ』第99話「涼風そうめん」の感想

1991年8月13日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第99話「涼風そうめん」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第113話)

あらすじ

大橋永一の暑気あたり

栗田たま代に誘われ、銀座で買い物をする山岡ら5人。山岡と栗田の進展について話していると易者を見かけ、たま代は栗田を占ってもらうことにしますが、易者は倒れて田中病院に搬送されます。

原因は暑気あたりで、数日間ろくに食事をしなかったことを聞いた たま代は不憫に思いますが、彼は大手企業・銀宣社の相談役 大橋永一でした。

大橋永一

銀宣社の創業者で、現在は相談役。銀宣社(本社:東京都港区白金台)は日本で五本の指に入る広告代理店。

最近は心理学の研究に没頭し、心理状態が人相に与える影響を深層心理の段階まで踏み込んで研究することに的を絞り、調査に都合の良い易者をしている。

たま代は看病することにします。

たま代の暑気あたり

ところが今度はたま代が暑気あたり。

夏バテに良いものを、と毎日のように大橋に届けているうちに倒れてしまいます。

しかし栗田の父は海外出張、母も同行、兄も夏休みで軽井沢までテニス。

日中に たま代を看病する者はいないように思えましたが、田畑と花村が見舞いに行くと、割烹着姿の大橋が看病をしていました。

大橋のそうめん

大橋はそうめんを湯掻き、たま代に食べさせますが、思っていた味とは違うと言って一口でやめてしまいます。

栗田らは山岡に相談し、板山秀司社長の経営するNEW GINZAでそうめんの買い出し。

山岡は、西暦700年代に日本に伝わったと云われる奈良県の三輪素麺を勧めます。

山岡の作り直した素麺を食べた たま代は元気を取り戻し、大橋からの交際の申し入れを快諾します。

登場した料理、食材

三輪素麺(池利屋 翁 蒼龍の糸)

全工程には丸2日は掛かる。(※ただし、これらの解説はあくまで美味しんぼの作中を文字起こししたものです)

  1. 気温、湿度を見計らって塩水を調整する

  2. 使用する塩は兵庫県赤穂産の一等品

  3. 円形に延ばした生地を外側から中心に向かって円周を沿うように渦巻状に切る

  4. 切った生地を手で延ばしながら桶の中にとぐろを巻くように収める、これが手延素麺の所以

  5. 保存を利かせるため、綿実油(めんじつゆ、綿の実の油:わたのみのあぶら)を塗る3,4時間放置する、この熟成をウマシと呼ぶ

  6. 手延とウマシを繰り返すことで手延素麺独特の上品な風味と腰の強さが醸成されていく

  7. 2本の棒に螺旋状に架け渡し(掛け巻きと呼ぶ)、棒を平行に引き離して麺を延ばし、風呂と呼ばれる細長い木製の箱に入れて寝かせる

  8. 引き延ばした麺を天日で干し、麺同士がくっつかないように棒で捌きながら乾燥させる

  9. 1 kgの生地から1 kmの素麺が作られ、上等品だと1.5 kg作られる

  10. これを木箱に詰めて熟成させる

  11. 梅雨に水分を含んで膨らみ、発熱し、数日掛けて乾燥した状態に戻り、そこから熟成が始まる

  12. 更に2年から3年寝かせると完全に熟成し、色は薄クリーム色となる

  13. 製造過程で麺は撚れて中空になるので短時間で茹で上げることができる

奈良盆地の冬の寒冷で乾燥した空気が素麺を乾かすのに好都合。

株式会社 池利

嘉永3年(1850年)に創業した、実在する手延素麺の会社。

奈良県桜井市芝に本社を構える。

素麺の茹で方と食べ方

  • 乾燥状態の麺の端を細い糸で縛る
  • 縛った側を持ってたっぷりのお湯で茹でる
  • 茹で上げたら差し水をして麺を引き締める
  • 流水で油分を丹念に洗い流してザルに移して水気を取る
  • 糸で縛っておいた端を切り取り、一口分に分けて氷の上に並べる
  • つけ汁は梅干しを裏漉して出汁で溶いたもの

感じたこと

栗田家の玄関の松の木

最近盆栽にハマってるので気になっちゃいました。

これは赤松か黒松かは分かりませんけど、まずコケ順が酷いし、差し枝もなくて迫力に欠けます。

枝の振り方は悪くないし、無駄な枝葉は少ないので整枝はされているようですけど、枝先は全部上を向いていて、「日頃はあんまり手入れされてない木を思いっきりサッパリさせました」っていう感じが強くて、海原雄山が盆栽に精通してるかは知りませんけど、見たら怒りそう。

素麺の端っこ勿体なくない?

糸で括る茹で方、食べやすさや美しさを追求したらこれくらいは仕方ないんでしょうか?庶民としてはかなり抵抗があります・・・。

大橋もたま代も羨ましい

歳をとってもこう元気な人が羨ましい。皮肉とかじゃなくて。

別に恋愛に限らず、何歳になっても「ああしておけば良かった、これからはこうしよう」と思っても、同じ後悔を繰り返すこともしばしばありませんか?選択肢を誤ったとかいう話はそれこそどうしようもない話というか気にしても仕方ないと思ってるんですけど、とにかくもっと有意義なことに対して活動的にならなくちゃ、と思うことはよくあるんですよね。