『美味しんぼ』第100話「古酒」の感想
放送、アニメ版の『美味しんぼ』第100話「古酒」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第114話)
もくじ
あらすじ
文芸評論家・古吉伸一
昼休憩。
新しく出来た天ぷら屋でもどうかと誘うも断る富井副部長に谷村部長は驚きます。
一方、蕎麦屋で昼食を済ませた山岡と栗田が東銀座の丸坂屋で開催されている世界名酒フェスティバルを覗きに行くと、そこには昼休憩を割いてブランデーを味わう富井の姿があり、富井の横で飲んでいた男性は完全に酔っ払っていました。
同日、究極のメニューに酒を加えてはどうかと富井から提案された大原社主は文芸評論家・古吉へのインタビューを山岡と栗田に指示します。
- 古吉伸一(ふるよし しんいち)
有名な文芸評論家。華族出身で、ヨーロッパの上流階級とも付き合いがある。
1934年生まれ。1959年から4年間パリに留学。
酒仙と呼ばれ、和洋東西の酒に精通している。銀髪で白いスーツを着こなし、常に酒気を帯びているただの呑兵衛。
蒸留酒と文学精神
夕方、待ち合わせに現れたのは昼間の酔っぱらいでした。
日本には何十年も熟成させる上質な蒸留酒(スピリッツ)がないから精神(スピリッツ)も未熟で文学も育たないのだと嘆く古吉と、沖縄の泡盛を挙げても納得しない古吉をこき下ろす山岡は衝突します。
古吉の改心
文壇に影響力を持つ古吉を敵に回した山岡に大原は激怒しますが、山岡は沖縄に行けばそれを解決できると提案。
大原は先日のお詫びと称して古吉を連れて沖縄へ向かいますが、空港で出迎えたのは運転手姿をした山岡。大原は山岡をクビにしたと嘘をついて冷や汗をかきながら古吉を乗車させます。
キャン夫婦の酒蔵を訪れた一行は20年ものから40年ものまでの古酒を味わい、古吉は考えを改めます。
登場した料理、食材
世界の文学と蒸留酒
- ロシア文学とウオッカ
- フランス文学とコニャック
- イギリス文学とウイスキー
- アメリカ文学とバーボン
そういえばアメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイがフローズンダイキリなどを好んでいたというのは有名な話。下に、ヘミングウェイにゆかりのあるカクテルを3つ紹介します。
- フローズンダイキリ
ラムをベースに、マラスキーノ、ライムジュース、シュガーシロップ、クラッシュドアイスで作るブレンドカクテル。
- Death in the afternoon(午後の死)
自著に因み、ヘミングウェイ自身が考案した。
シャンパンをベースに、元は黄緑色で加水すると白濁するアブサンやペルノー(ハーブで香味付けされたリキュールの銘柄)で作るビルドカクテル。
元祖レシピではシャンパンと黒色火薬で作られた。- モヒート
ラムをベースに、ミント、砂糖を加えてかき混ぜ、最後に氷と炭酸水でグラスを満たすビルドカクテル。
BAR BACHELORで供された酒
- Ballantine’s (VERY OLD SCOTCH WHISKY 30 YEARS OLD)
沖縄の古酒(クースー)
- 古酒(クースー)
黒麹菌を働かせて作った酒を蒸留して泡盛にし、それを瓶で20年から100年寝かせる。長いものでは康煕ものと呼ばれる300年ものもあったが、太平洋戦争の米軍の艦砲射撃で多くの酒蔵が被害に合い、ほとんどが失われたという。
- 康熙
中国・清の元号(1662年-1722年)。満州族出身である清の第4代皇帝・玄燁(廟号は聖祖)の治世に使われたことから、聖祖は康熙帝と呼ばれる。
- 20年もの
淡い山吹色がついている。泡盛の癖のあるニオイが抜けている。アルコール度数は高いのに、味はまろやかで飲みやすい。
- 30年もの
味も香りも20年ものより更にまろやかで、とろりとした甘みが加わっている。
- 40年もの
20年ものや30年ものに比べて香りが一層爽やか。
早春の野を渡る風のように爽やかな香り
(谷村部長の評価)こんな酒がこの世にあるなんて これはもはやうまさの範囲を超えている
(大原社主の評価)一切の夾雑物が失せた かといって味が痩せたわけではない それどころか一層豊かになっている
(古吉の評価)
- 50年もの
こんないい酒は酔っ払った状態で飲んだんじゃ真価は分からない。一ヶ月ばかり酒を断って身も心も清めてから出直してきます
と言って古吉は飲まなかった。
感じたこと
ダルな男
英語のDull(つまらない、出涸らし、鈍い)のこと。
クリコの推薦・吉本ばなな
吉本ばななは1987年から活動し、1987年・1989に新人賞を受賞している作家ですが、まさか1991年の美味しんぼで言及していたとは・・・。
古吉伸一の名言
文学?そんなものは不幸な人間のやることだよ
『美味しんぼ』|第100話「古酒」|古吉伸一
最高のクースーを飲んで豊かな気持ちになれば
文学なんてバカバカしくってやってられないよ
君たちも文学なんてつまらないことを考えずに
クースーを飲みなさいクースーを
最高の文学は最高の蒸留酒から作られる、みたいなこと言ってたのに身も蓋もない結論で、士郎の「ただの呑兵衛だったんだよな」にはさすがに笑ってしまいました。最初のあのやりとりは何だったのか(笑)
古吉の甲類焼酎批判には納得
- 甲類焼酎
サトウキビから砂糖をとった残りの廃糖蜜などを原料にして工業的に精製した高濃度アルコールを水で薄めた焼酎。
- 乙類焼酎
米やサツマイモなどを醸造していったん低濃度アルコールの酒を造り、それを蒸留した焼酎。
私が飲んだ中で美味しいと感じた琉球泡盛の古酒といえば、瑞泉酒造 おもろの15年もの。水割りでもロックでもお湯割りでも、本当にスッキリとした爽やかな味わいで、オススメですよ。良かったら以前書いたレビュー記事どうぞ。
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