『モダン・ラブ』 1-1 「私の特別なドアマン」の感想

『モダン・ラブ』のシーズン1第1話「When the Doorman Is Your Main Man(私の特別なドアマン)」を観ました。途中まではネタバレ無し。

あらすじ

マンションの住人マギーと、ドアマンのグズミンとの関係を描いたドラマ。マギーは男ができるたびにグズミンに紹介します。

マギー

実家から出てきてニューヨーク1年目の独身女性。大学院卒のインテリ書評家で、本は1日に1冊読むこともある。家族が長年借りているアパートに住み、家賃は1980年代当時のまま。

グズミン

マギーの住むマンションのドアマン。門番やボディガードでもあり、マギーの親友や父親代わりでもあり、彼女の面倒を見ている。政治活動家の両親が逮捕された東欧の強制労働キャンプ出身。

原題:When the Doorman Is Your Main Man。実家から出てきて1年目のニューヨークに暮らす大学院卒のインテリ書評家マギーと、彼女が暮らすアパートのドアマンをしているグズミンとの関係を描いたドラマ。

マギーは男ができる度にグズミンに紹介します。1人目の男性はマークで、グズミンの評価は「自制がきかない弱い男」。2人目の男性はテッドで、グズミンの評価は「気に食わない、頭が空っぽ。ふさわしくない」と散々。色々と言われるのが本当に嫌だったら連れてこなければいいのに、マギーは「男のことに口を出すな」と言いながらも毎回のように連れてきてはグズミンに会わせます。マギーにとってグズミンは父親代わりでもあり親友でもある存在。あたりにこの2人の関係が見てとれても面白い。

セクシーなシーンは無いので「年齢制限のratingは[13+]でもいいのでは?」と最初は感じたものの、よく考えると確かにストーリーとしてはショッキングなので、やはり[16+]が妥当なのかもしれません。

ネタバレ無しはここまで。

マギーの男たち

マーク

1人目の男性。
グズミンの評価は「もう連絡してこない」、「自制がきかない弱い男」。

マギーはグズミンから離れたところで「ここでキスして」とマークに頼みますが、その直後に紳士的じゃない態度を取るマークを制止します。グズミンからはよく見えない距離で「男といい感じになっている自分」をアピールしたい様子。でもきっと面と向かって紹介させると、「マークのボロが一瞬でバレてしまう」。マギー自身がそう感じているからこその行動なんでしょう。

デート後にfoxy(セクシーな気分)、 frisky(アツい気分)などと色々と言葉を選んでメールを送るも、グズミンの言う通り返事なし。淡い期待を抱いて自分から「攻め」のメールを送っておきながら、返ってこなくて狼狽することって恋愛あるあるだと思うんですけど、同じ経験をした自分としては「こういう駆け引きが必要な人とは絶対上手くいかない」という自信というか、教訓があります。やっぱり恋愛は「惚れたが負け」なんでしょうか。

テッド

2人目の男性。1年に1冊しか本を読まないイケメンのイギリス人。
グズミンの評価は「気に食わない、頭が空っぽ。ふさわしくない」。マギーの子供の実父となる人物。妊娠発覚後もしばらくは付き添うものの、すぐに姿を消します。性格が悪いようには見えないし、妊娠を知ったときの反応を見ても純朴さは感じられるんですけど、責任を取らないあたり、グズミンの「相応しくない」という言葉は的を射ていると言わざるを得ません。

ダニエル

3人目の男性。マギーに相応しいとグズミンも認める男性。

一時的な成功者(flash in the pan, フラッシュ・イン・ザ・パン)

語源は2つあり、火打ち石銃が火皿(pan)の中で発火するも弾が出ず空発に終わる様子。黄鉄鉱を金と見間違えた探鉱者。
グズミンはマギーを慰めるためにテッドのことを彼は一時的な男だったと表現した。

原作

When the Doorman Is Your Main Man

このエピソードの、ニューヨーク・タイムズに掲載された原作エッセイ(英文)

実際の舞台はニューヨーク・マンハッタンのセントラルパークのすぐ西にあるアッパー・ウェスト・サイド。実際のグズミンはグジムという男性で、髪は白髪、顔はケーリー・グラントとジョージ・クルーニーを足して割ったような顔。(めちゃイケメンやん)
彼の経歴もかなり踏襲されています。アルバニアの陸軍大将の父を持ち、エンヴェル・ホッジャ(スターリン主義の独裁者)の秘密警察に反逆罪で家族ともども逮捕され、20年も強制労働を強いられます。(これだけでもすごいドラマ)

実父となったイギリス人のテッドは実際にはイスラエル人男性です。妊娠発覚の数週間後に彼はプロポーズをしたものの、マギーが断っています。でもそもそも彼も実は結婚をしたくなかったようです。そして出産から9日後に彼は姿を消します。

主人公マギーの親はカトリック教徒。カトリックといえば、一度結婚すれば離婚もできないし、婚前交渉も厳禁というキリスト教です。でも幸いなことにマギーを心配してくれたし、女友達もみんな協力してくれました。

彼女はカリフォルニアに移住しました。彼女は父親にも滅多に会いませんが、ニューヨークに来た折はグジムのもとを訪ねます。

感想

タイトルからは想定していなかった「ラブ」がさっそく一発目から提示されて困惑しましたが、これはこれでほっこりできて良かった。でも子供ができて、「えっ、まさかグズミンが父親になるルートなの!?」という予想が一瞬頭をよぎった時にはヒヤリとしました。

制作のコスト面で制約があったんでしょうけど、もうちょっとニューヨークの季節感がはっきりしていればもっと雰囲気が出て良かったかなーと思いました。