『モダン・ラブ』 1-2 「恋のキューピッドは世話好き記者」の感想

2023年6月22日

『モダン・ラブ』のシーズン1第2話「恋のキューピッドは世話好き記者」を観ました。

あらすじ

原題:When Cupid Is a Prying Journalist。デートアプリ・ヒューズを開発したエンジニアのジョシュアは、アプリの開発について記者のジュリーから取材を受けます。ジュリーが最後に「本気で恋愛をしたことはある?」と質問すると、ジョシュアが何かに思いを馳せたような表情を見せます。ジュリーは少しためらったかのようなジョシュアの表情を見て、オフレコでその話を聞くことにします。

ジョシュアは「恋愛は一生の相手かどうかは考えず、ロケットと同じで最初の爆発力と勢いが大事だ」と言って、昔あったエマとの恋を語り始めます。どの場面をとっても、「後悔は気づいたその瞬間に解消するべき」と思わされるエピソードでした。

一方、それを聞いたジュリーは自身の後悔を元にして、ジョシュアに確信を持ったアドバイスを与え、彼女もまたマイケルとの恋物語に耽ります。戦場カメラマンだったパリ在住のジュリーと大学でシェイクスピアを学んでいたマイケル、カリブのBARでの出会い、住所を記した本『アンナ・カレーニナ』(レフ・トルストイ著)、17年ぶりの再会。登場する単語がどれもいちいちお洒落で、どこを取っても映画のワンシーンを思わせるようなエピソードです。

ネタバレ無しはここまで。

原作

When Cupid Is a Prying Journalist

このエピソードの、ニューヨーク・タイムズに掲載された原作エッセイ(英文)

原作は、ジャスティン・マクロードが2012年に開発した出会い系アプリ「Hinge(ヒンジ、蝶番)」についてジャーナリストで作家のDeborah Copaken(デボラ・コパケン)がおこなったインタビュー。なぜ彼女がこのインタビューをしたかといえば、彼女自身が、結婚20年後の別居生活のなかでヒンジを通して一目惚れしたアーティストとのブラインドデートを果たしたからです。

実際のエマはケイトという女性で、マクロードとケイトは大学時代からの恋人。作中ではエマが元彼と浮気したことが破綻のきっかけとなっていますが、実際にはマクロードの素行に問題があり、ケイトから離れていったようです。

作中では「ジュリーが22歳のパリ在住の戦場カメラマンで、マイケルはシェイクスピアの研究をしていて、ジュリーとマイケルの出会いがカリブのBAR、アンナ・カレーニナのメモ」となっていて「さすがに盛りすぎでは?」と思って確認してみたところ2人の経歴はそっくりそのまま事実で、違う点は「BARではなくビーチ」で、「住所をメモしたのはアンナ・カレーニナではなくただ紙」という点だけでした。

それから3か月後、マクロードはコパケンをランチへ招待した際、サプライズで彼女も連れて3人で食事をしています。コパケン曰くケイトはもう1人のケイト、つまりキャサリン・ヘップバーンみたいだったと。(キャサリンの愛称も同じケイトになることから彼女はそう表現している)

ちなみにこのアプリは、2019年にアメリカ大統領候補のピート・ブティジェッジ氏がヒンジで夫と出会ったことを明らかにしたことで人気が拡大しました。

感想

ジョシュアのエピソードの流れについては、「そもそも最初にエマと分かれるハメになったのはジョシュアがちょっと潔癖すぎるせいだからなのでは?」と思ってしまいました。エマが元彼と一瞬イチャコラしたもののすぐ我に返った言っても聞かずに、そのまま別れてしまうというのはさすがに子供じみているというか何というか。まぁ気持ちはわからなくもありませんが。

確かに元はと言えば悪いのはエマですが、彼女が包み隠さず正直にジョシュアに報告したことが良いのか悪いのか、とても難しいところです。丸く収めたいなら黙って自分の中だけに収めるべきです。でもエマはあえてそうしなかったように思えます。たぶん黙っていたとしても彼女はその秘密を枷のように感じてしまっただろうし、一瞬でも裏切った自分が許せなかったし、ジョシュアを信じていたからこそ、そうしたんじゃないのかな、と感じました。
だったらジョシュアもそれを受け入れて、許してあげることができたら良かったんじゃないかな、と。寛容さもまた愛ではないでしょうか。

でもこの経緯は作中のオリジナルであり、実際にはマクロードの素行が破局の引き金になっていたことを踏まえると、こんな風に改変するのはちょっと残念だな感じました。でも最終的に復縁できて本当に良かった。