『モダン・ラブ』1-8「人生の最終ラップは より甘く」の感想

『モダン・ラブ』のシーズン1第8話「人生の最終ラップは より甘く」を観ました。途中までネタバレ無し。

あらすじ

原題:The Race Grows Sweeter Near Its Final Lap

多くの人、特に若い人はこう思っているでしょう。「老人の愛は独特で現実的で、人生の酸いも甘いも噛み分け、妥協する術を身につけている」と。でも本当にそうでしょうか。

老境に入ったマーゴットは、ランニングのイベントでケンジと知り合い再婚しますが、先立たれてしまいます。式に向かう中やスピーチの中でもマーゴットはケンジとの思い出を回想します。式を終えたマーゴットが外に出て歩いていると、ランニングするカップルとすれ違い、それを見たマーゴットは自分の人生と重ねるかのように耽り、走りだします。

そして第7話に登場したカーラ達(養子の両親)の乗ったワゴン車がマーゴットの眼の前を通り過ぎ、過去のエピソードの登場人物たちの人生が交差していきます。

原作

The Race Grows Sweeter Near Its Final Lap

このエピソードの、ニューヨーク・タイムズに掲載された原作エッセイ(英文)

原作での名前はイヴ・ペルサム。サムは第二次世界大戦時に収容所に抑留された経験を持つ日系アメリカ人。
2人は2年の交際を経て80歳と70歳の合計150歳誕生日パーティーで婚約を発表し、翌年結婚。作中のケンジは36年間 妻と連れ添いましたが、原作では40年以上。

追いついたイヴがサムの背中を叩いて煽るシーンは忠実に再現されているようです。ただ実際と映像作品とでは、このシーンと交際のスタートは順序が逆です。

また、当時新作だったチェ・ゲバラを描いた『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004年)が2人のデートのきっかけの1つであることが紹介されています。サムはこういったデート記念日も決して忘れないマメな人だったそう。ちなみにこちらも面白い映画なのでまだ観てない人はぜひ。

感想

ほかのエピソードも織り交ぜられているので、今回のエピソードはかなり短めに描かれていましたが、ランニングをするカップルとすれ違う場面はとても心を打たれました。

「老人のカップルは独特であっても、私達は若者のカップルと同じことをした」、「恋愛は老人にとっても驚くほど豊かな経験になる」、この2つの言葉は若い人も胸に留めて置かなければいけないと思いました。もうひとつ併せて言葉を借りてくるとすれば今が人生で1番若いでしょうか。「もう◯◯歳だからこうではないといけない」とか「もう恋愛をする歳じゃない」と諦めたり自分を縛るような生き方をしなかったイヴは素敵です。

ちなみにマーゴットを演じているジェーン・アレクサンダーさんは1939年生まれ。出演当時も昔も美しく、シルバーヘアが似合うところは日本の草笛光子さんを思わせます。