『美味しんぼ』第34話「女の華」の感想
1989年10月17日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第34話「女の華」をアマゾンプライムビデオで見ました。(美味しんぼTVシリーズ第44話)
今回も動画・仕上げが京都アニメーションです。
もくじ
あらすじ
築地の「魚佐田」
山岡の知人である北尾照一の案内で栗田と山岡が築地で仲卸の取材をしていると、寿司屋の夏子が「魚佐田」の店主に噛み付いていました。届けさせたヒラメが開いてみるとダメだったと。
3年前から求婚している北尾は夏子を宥めます。
「寿司とも」の夏子
夏子の店「寿司とも」でも、夏子は客前でスタッフを叱ったり所作も荒々しい。そこへ田中社長が有名な役者2人を連れて来店しますが、そこでも一悶着。田中社長は彼女に鉄火肌だと言います。
- 鉄火肌
喧嘩っ早いが根に持たない性格。 「竹を割ったよう」と同様な意味で、真っ直ぐで、男勝りなさっぱりとした主に女性の性格を指す。
- 吉川清右衛門:女形・女方(おやま・おんながた)の名優
- 市橋菊蔵:若手1番の実力と人気の歌舞伎俳優
ミソジニストの市橋菊蔵とは違い、吉川清右衛門は男女差別をする人間ではありませんでしたが、それでももうこの店に来たくないと言います。
長田シェフ(おさだ)
山岡は北尾と夏子をフレンチに連れていき、フランスのリヨンで修行を積んだ同店オーナーの長田シェフを紹介します。長田シェフは夏子と違い男と対立せず、また男女を意識しないのではなく、あくまでも女性として仕事をしているといいます。
改心する夏子
過ちに気付かされた夏子は肩肘張らずに自分らしさを出すようになり、再び訪れた吉川清右衛門も鮫肌のワサビおろしを使っていることや店内の生花などの気配りを評価します。
登場した料理、食材
長田シェフのフランス料理
- ウフブルイエ
玉子の殻を使ったスクランブルエッグ料理。
- リード・ヴォー(リ・ド・ヴォー)のラグー(?)
リ・ド・ヴォー(ris de veau)とは仔牛の胸腺を意味する食材に過ぎません。アニメに登場したのがムニエルなのかラグー(シチュー)なのか、具体的な料理名は不明。
- 白い料理
同じ皿に盛られた白い柔らかそうな食材に白いソースの料理は一体何でしょう??
夏子のマグロの握り
柵を切る時の筋の向きがちゃんと正しい向きに描写されていて、さすが美味しんぼという感じ。
終盤ではワサビおろしも金属製から鮫肌に替え、更におろしたものを包丁で叩いて風味を高めています。
感じたこと
また大学病院でCTスキャンに掛けられるかと思った
第9話「寿司の心」にそういうシーンがあったのを思い出さない人はいないでしょう。(笑)
吉川清右衛門?市川清右衛門??
クレジットには市川清右衛門とありますが、くり子は「女形の名優よしかわきよえもん」と言っています。はて。
市川は実在するので、本当は吉川とクレジットするところを誤ったのでしょうか。
おじさんBが茶風林
美味しんぼにはちょい役でよく登場する茶風林さん。冒頭の競りの人の声にそれっぽいのが混ざってる気もするけど、どれかは正確に分かりませんでした。
くり子の毒舌
たまにひねくれ者もいますけどね
長田シェフ「女に頼まれて嫌な顔をする男の人もあんまりいませんものね」に対する言葉。そして士郎の顔(笑)
夏子は悪くない
そもそもなぜ夏子がこんな思考に陥ったのかというと、寿司業界や歌舞伎に限らず日本全体に蔓延る男社会がそうさせてると思うんです。夏子は自力で改心できましたが、まともな社会ならそもそも夏子は最初からこんな苦労をせずに済んだわけで、これを美談にしてはいけないと思うんですよね。
長田シェフは「自分は女だから女らしくする」という姿勢でした。これは正しい。
一方で、夏子は冒頭のように男っぽくても良い。これも正しい。女だからといって女らしく振る舞わなければならないワケではない。これは両立できるはずです。
でも客がそれを不快に感じたり、夏子が心の中で無理をしていてはダメなんですよね。結局のところ、在りたい姿で在ることに苦痛を感じない社会であるべきだなと思いました。(社会科のような感想)
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