『蛍の光』と『仰げば尊し』の原曲
どっちも年の瀬になるとよく聞こえてきます、いい曲ですね。(『蛍の光』はスーパーの閉店時間とかによく聞きますが・・・)
でもどっちも原曲が日本ではないってご存知でした?
『蛍の光』の原曲
『蛍の光』の原曲は、スコットランド民謡である『AULD LANG SYNE』(オールド・ラング・サイン)。スコットランドでは非公式な準国歌。
- スコットランド語
auld lang syne
- 英語
old long since
- 英語での意訳
times gone by
- 日本語での意訳
久しき昔、過ぎ去りし日々
日本語詞は中国故事から
- 「蛍雪之功」(けいせつのこう)
苦しい環境の中で勉学に励むこと。「蛍雪」とは「蛍の光」と「雪明かり」(雪面に反射した月光)のこと。このモデルとなった逸話は次の2つ。
- 『晋書』 第83巻 列伝第53『車胤伝』
中国(晋の時代)の人物、車胤(西暦400年没)が貧しい生活の中で蛍を集めて、その光で夏の夜に書を照らした。
車胤は後に出世して吏部尚書(りぶしょうしょ、文官の人事権を握る要職)に就いた。- 『初学記』第2巻『宋斉語』
中国(晋の時代)の人物、孫康は家が貧乏で灯油(灯火用燃料の意で、石油由来の灯油のことではない)も買えなかった。そのため、書を雪明かりに照らして読書した。
孫康は後に出世して御史大夫(ぎょしだいふ、副丞相)に就いた。
中国・唐の時代の官僚で文人の李翰は、四字一句の韻文で綴った初学者用の教科書『蒙求』(西暦746年頃)でこの2つの故事を挙げ、
孫康映雪 車胤聚蛍
と並称した。これが「蛍雪之功」の語源とされる。
『仰げば尊し』の原曲
『仰げば尊し』の原曲は、アメリカの『SONG FOR THE CLOSE OF SCHOOL』。
一橋大学名誉教授の桜井雅人さんが原曲を突き止めたことが2011年のニュースになりました。
- 『仰げば尊し』(1884年)
- 『SONG FOR THE CLOSE OF SCHOOL』(1871年)
道理でどっちの旋律にも日本らしさが感じられない
学生時代は日本の歌だと思っていたものの、「なんでこの曲はこんなに昔の日本っぽくないの?」と疑問だったのですが、道理でそう感じるわけです。
どちらもバグパイプ(Bagpipes)が似合いそうな雰囲気がありますよね。やっぱりピルグリム・ファーザーズをはじめとした開拓団や移民のスコットランドやイングランドの血脈によるものだからなんでしょうか。
学校の音楽といえば、下校時間に流れる「ドヴォルザークによる交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』第2楽章(家路)も懐かしい。ドヴォルザークはチェコ出身なんですが、メロディの運び方とか雰囲気が『仰げば尊し』とどことなく似てるんですよね。
- ドヴォルザークによる交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』(1893年)
- 『SONG FOR THE CLOSE OF SCHOOL』(1871年)
「ドヴォルザーク=クラシック作曲家=とにかく古い人」というイメージがあるんですが、彼の曲は『仰げば尊し』の原曲『SONG FOR THE CLOSE OF SCHOOL』が出た1871年より22年もあと。しかも『家路』の旋律ってどことなく『仰げば尊し』と似てるんですよね。もしかしたらこれを聴いたドヴォルザークがインスピレーションを得た可能性もあるっちゃある!?
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