映画『最強のふたり』、久々の良作

2019年4月15日

2011年にフランスで公開された『最強のふたり』という映画を見ました。これが非常に良かった!!

概要

概要
タイトル原題初公開日ジャンル時間rating制作費売上監督
最強のふたりIntouchables2011年11月2日コメディ/実話112分フランスPG12950万ユーロ3.46億ユーロ(ヨーロッパのみ)Éric Toledano

あらすじ

頸髄損傷で首から下が不自由な大富豪フィリップはケアスタッフを募集して面接をおこないます。面接に訪れたうちの1人ドリスは貧困層の若者でしたが、フィリップはその特異な人柄を気に入り、試用期間を設けて雇うことにします。

フィリップはクラシック音楽、ドリスはクール・アンド・ザ・ギャングやアース・ウィンド・アンド・ファイアーがお気に入り。趣味も境遇もまったく違う2人が、雇用主と従業員という立場を超えた姿を描いたヒューマンストーリーです。

最強のふたり

アマゾン プライム・ビデオの視聴ページ。(吹き替え版)

私はなるべく字幕で観る派なんですけど、この映画は吹き替えのほうが面白いかもしれません。

日本でも大ヒット、フランス語映画歴代1位

この映画は、フランス語の映画としては日本国内歴代1位の興行収入を得ています。(執筆時)

ヨーロッパでの興行収入3.46億ユーロ(約438億円)で、日本での興行収入は16.5億円です。16.5億円といってもピンとこないかもしれませんが、例えばオドレイ・トトゥ主演の『アメリ』でも16億円で、ブルース・ウィリスやミラ・ジョヴォヴィッチが出ている『フィフス・エレメント』さえも16億円で、それを超えているらしいんですよね。驚きです。

掴みが良い

ダメな映画だと、20分見ても全然見どころが無くて、退屈なまま30分過ぎたあたりで「この話どう着地するつもりなんだろう・・・うーん、切ろうかな・・・」とか思うこともしばしばあります。そんな調子でのらりくらりと最後まで観せられたときには本当にガッカリするものです。

でもこの映画は序盤から笑かしてくれるので、すごく見やすい。本当に。開始5分くらいで笑わされて「よっしゃ観たろやんけ」と思わせてくれます。しかも最初だけじゃなくて、最後まできっちりと満足させてくれます。

しかもそこで流れる音楽は私も大好きなearth wind & fireのSEPTEMBER

ここ数年で観た映画の中ではかなり上位です。

また、この曲はラスト・ベガスというマイケル・ダグラス、モーガン・フリーマン、ロバート・デ・ニーロら豪華俳優陣が出る映画でも使われています。

Intouchablesの意味

フランス語:Intouchables

英語:Untouchables

日本語:禁忌、手を触れてはならない、禁制の、タブー

フランス語の原題:アントゥーシャーブレは英語のアンタッチャブルに相当します。
じゃあ何がタブー?何に手を触れてはいけないの?っていうと、これは数多くある皆が避けていることや表現です。例えばこういうの。

  • フィリップの足にお湯を掛ける

  • 白バックに鼻血付けただけ

  • ヒトラーのチョビひげ

まぁ他にもたくさんありますけど、要は周囲の誰もが眉をひそめるような言動のことです。実際、私も映画を見ているなかで何度も不愉快になりましたし、見返して見てもやっぱり笑えないシーンはあります。でも笑えるシーンがあるのも確かです。

じゃあなぜこの映画には笑えるシーンと笑えないシーンが同居しているのか。単に面白いか面白くないかの違いなのか、あるいは私の無意識下にある差別心がそうさせているのか、考えさせてくれました。

クラシック演奏は全然ダメ

作中ではクラシック音楽の演奏シーンが登場します。

フィリップはクラシック音楽や美術などにも精通している高尚な人物として描かれていますが、この演奏が酷い。いやまぁ、いくら富豪と言っても自宅に呼ぶのはこの程度なのかもしれませんけど、ちょっとなぁ・・・というのが正直なところ。クラシック音楽好きな私としてはちょっと残念な部分でした。

今のドリスを評価するフィリップ

あえて好きなセリフを1つ挙げるとしたらこれでしょうか。

あいつがどこから来て過去に何をしたかなんて、そんなの私にはどうでもいいことだよ

Intouchables

この言葉は私の人生観に重なって、ずっしりと響きました。

今この瞬間は最善

人はつい、誰かを評価するときにその人が過去にしてきたことを見て判断します。その感覚や心情はよく分かります。ご尤もです。でもフィリップは、今この瞬間のドリスがどんな人間なのかを評価しています。これはすごく難しいことですけど本当に正しいんですよね。

多くの人は、「子供の頃には無限の可能性があるけど加齢と共にそれが狭められていく」、あるいは「あの時こうしていればもっと良い人生になってたに違いない」と思っています。でもそういう妄想をする時、人は「都合の良い結果」は想像しても「その選ばなかった過去の選択肢の結果で"起こるであろう悲劇"」については一切考えません。極端な例としては、「その選択で交通事故に合う」とかね。

昔は私もそういう考えで、分かったふうに人生は妥協の連続であるなんて言葉を座右の銘にしていた時期もありました。
でも過去は時間と共にどんどん現在から遠ざかっていくもので、過去にとらわれるのは無意味です。そして人間は、今この瞬間から考えを切り替えれば新しい未来を開拓することができる生き物です。最近はそう想って生きるようにしています。これは社会学者 宮台真司さんのいう「苫米地(英人)matter」と呼ばれるやつですね。

フィリップも過去に起きた悲劇についてしがらみを抱きつつもそういう生き方をしているようで、だからこそこういう言葉が出てきたんだろうな、と思える良いシーンとセリフです。

最強のふたり

アマゾン プライム・ビデオの視聴ページ。(吹き替え版)