『美味しんぼ』第16話「もてなしの心」の感想

2019年5月23日

1989年2月20日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第16話「もてなしの心」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第17話)

あらすじ

とうじん君

ある日、若い女性を連れた老人が山岡を訪ねてきます。鈴村領子と唐山陶人です。

唐山陶人(とうやまとうじん)

著名な陶芸家。海原雄山とは陶芸の師弟関係にあり、海原雄山が唯一頭の上がらない人物。山岡士郎は幼い頃から唐山陶人のところに出入りしていた為、陶人にとっては孫のような存在で、親しみを込めて山岡のことを士郎と呼び捨てにしている。

鈴村領子の夫。身長は低く、鼻下とアゴにヒゲを蓄えている。人間国宝に選ばれた。

山岡と海原雄山の仲が悪いことも知っており、いつも2人を気にかけている。

鈴村領子(すずむらりょうこ)

唐山陶人の妻。陶人の孫だと周囲の人間が勘違いするほど年の差がある。夫のことをとうじん君という愛称で呼んでいる。唐山陶人はプレイボーイで、領子は数多くのライバルの中から陶人を勝ち得たという。

2人は結婚披露宴の招待状を届けるために東西新聞社を訪ねたのでした。

結婚披露宴

山岡、栗田、谷村部長の3人が披露宴に出席すると、そこには海原雄山の姿もありました。弟子の海原雄山が師匠に招かれるのは当然です。披露宴には、幼少のころ世話になった本村も来ていました。

本村

山岡が小学生の頃から海原雄山の下で10年間働いていた。釜炊きの名人で、唐山陶人の器が上手に焼けるのも本村のお陰だと山岡は褒めているが、釜炊きは海原雄山に教わったものだという。

料理の基本

陶人は山岡を呼びつけ、領子に料理の基本を教えてやって欲しいと頼みます。

基本と言えば米の炊き方と味噌汁の作り方と山岡は言いますが、横に座っていた海原雄山は疑問を呈します。

結婚披露宴で親子喧嘩。(予定調和)

後日、箱根の高級旅館で対決が始まりました。この旅館には、一般用の調理場とは別に、宗教上の理由から食材を限定される来賓の料理のための調理場があり、本村と山岡はそれぞれ違う調理場を使って御飯と味噌汁を作りました。

山岡の作った料理が先に提供され、全てが完璧だと思われました。ところが本村の料理のほうが美味しかったのです。山岡のご飯はぬか臭く、味噌汁のシジミも生臭い。

本村なりのもてなし

本村は、シジミや米を一粒一粒選別して大きさを揃えていました。大きさが揃っていれば火のとおり具合も均一になります。

また、味噌をする磨棒は自宅の山椒の木を数日前に切って干したもので、味噌に山椒の香りが移っていました。

山岡、競馬辞める宣言

山岡は今回の件で完全に海原雄山に打ちのめされました。

冒頭で富井副部長に2-4の馬券を買えと勧めていた山岡でしたが、後日 富井に詰め寄られると競馬を辞めたと伝え、本気で究極のメニュー作りに臨むのでした。

登場した料理、食材

登場した食材
産地食材備考
新潟県コシヒカリ自家用の無農薬
新潟県湧き水酒造りに使われる湧き水
鳥取県シジミ松江市の宍道湖(しんじこ、日本海に面する汽水湖)
味噌無農薬栽培の大豆を使用した2年熟成させた味噌
鹿児島県 枕崎市鰹節雄節(背中側の脂身の少ない部分)

感じたこと

くりこ「山岡さん!もう!口が悪いんだから」←えっ!?

唐山陶人と鈴村領子を初めてみた時は心の中では散々2人をdisっておきながら、士郎が本音を本人に向けて言ったら「山岡さん!もう!口が悪いんだから」っていうくりこの人間性。これはもう恐ろしいですね。

士郎のほうがよっぽど心が綺麗だと感じざるを得ません。

第8話「接待の妙」でも通称ケチ平の成沢平吉に対して心の中で散々disってて、くりこの性格を疑いましたが、どうやらこういう人間のようです。

でもその直後に出てくる結婚披露宴のくりこの髪型、可愛い。

士郎、本村にタメ口

本村は使用人ですから、そりゃあ雇い主の海原雄山の息子である士郎は本村にとっては立場上 目上かもしれません。なので本村が敬語で話したり士郎様なんて呼ぶのは勝手だと思うんですけど、士郎が本村を呼び捨てにしたりタメ口をきくってどうなんですか。

子供の時分にそういう態度だったのはまだしも、大人になってもそのままなところにちょっとモヤモヤしちゃいましたね。

百歩譲って、たとえば、士郎には儒教思想から離れたところに信念があって、自分より実力のある人や尊敬する人にだけ敬語を使うっていうのならまだ分かります。儒教思想が絶対だと思ってるのは日中韓で、海外へ行けばそうじゃないことは多々ありますから。でも富井副部長には敬語なんでしょう?

海原雄山の士郎への信頼

料理の差に士郎が「カネのチカラにモノを言わせて、最上のものを集めたんだ」と負け惜しみを言ったところ、雄山は「材料の差だと!?お前がそこまでモノを見抜くチカラが無いとは思わなかったわ」と反論しています。

でもこれって要するに「お前ほどの能力があれば分かるはずだ」ってことで、士郎の能力を認めているからこそ出てくる言葉だと思うんですよね。

しかも士郎を負かしたいだけなら恥をかかせたまま立ち去ればいいのに、本村がどうやって作ったのかちゃんと教えてあげるあたり、父親なりの愛だと感じちゃいますね。(笑)

ネクタイが白一色というマナー

結婚披露宴に出席している人は皆、白ネクタイに見えます。でも今や白いネクタイは古臭いというかジジ臭い。最近だとシルバーが一般的です。

あと、スーツ屋の店員さんから聞いた話ですけど、お葬式だって完全な無地の黒じゃなくて、シャドーっていうかほんのり織柄が付いているのが人気になってきていて、昔とは違ってそれがマナー違反ではなくなってきたんですよね。シャドーストライプとかはさすがにダメですけど。

こういうのを見るとあぁ、時代が移り変わっていってるなぁと感じちゃいますね。

へうげものの千利休と侘び寂び

へうげもの(アマゾンプライムビデオのリンク)っていうアニメ、漫画がありましてね。私はアニメしか見たことないんですけど、めちゃくちゃ面白いんですよ!!

第何話だったか忘れましたが美味しんぼのこれと少し似た話がありました。(ちょっとネタバレ)

千利休がふらりと知り合いの家を訪ねたところ、その知り合いはアポもなく訪ねてきた千利休に対して色々工夫してもてなしました。利休はこれぞ侘び寂びと快く思っていたのですが、実際には利休が尋ねるという情報を事前にこっそり聞いていて色々用意していたという事実を知った利休が興醒めするというエピソードがあるんです。

15年前、訪ねた海原雄山をもてなすために本村が工夫をこらしたというエピソードには、これと通ずるところがあるなぁと、真っ先にへうげものの利休を思い浮かべました。