『美味しんぼ』第102話「新しい企画」の感想

1991年10月15日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第102話「新しい企画」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第116話)

あらすじ

東西グラフの新企画「世界味めぐり」

地下鉄に乗る栗田が赤坂見附駅に差し掛かったところで車内に貼られた結婚式場平成閣の広告をぼんやりと眺めていると、座っていた若者を立たせて妊婦に座席を譲らせる女性がいました。右の口元にはほくろ

東西新聞社の会議室に東西グラフの仁田編集長が訪れ、新企画「世界味めぐり」の同行と協力を仰いでいると企画発案者の仁木まり子も現れますが、それは先程電車で見かけた女性でした。

東西グラフ

東西新聞社のグラフ雑誌(写真を主体とした、ジャーナリズムを体現した雑誌の通称)。

仁木まり子

パリ大学 文学部卒業、現地採用されてパリ支局で働いていたが、先月日本に戻ってきた。新企画「世界味めぐり」もまり子による発案。
切れ長の目に、右の口元にほくろを持つ才色兼備の女性。

まり子におだてられて俄然やる気になった山岡。そこへ福々亭末吉と快楽亭ブラックがやってきます。山岡が保護した福々亭末吉の子犬・コロが立派な猟犬に成長して初陣を果たすということで、山岡をイノシシ狩りに誘います。

コロの子犬時代の回はこちら(第56話「再会の丼」)↓

一方、社主室ではまり子の企画がいい加減なファッション化だと怒る小泉局長とまり子が衝突。仲裁に入った大原社主は、まり子・山岡・栗田の3人でとりあえず一本記事を書いてみろと指示。小泉からテーマを尋ねられて たじろぐまり子でしたが、既に末吉から誘いを受けていた山岡はイノシシ鍋だと即答します。

イノシシ狩りとコロの初陣

ポルシェでまり子と狩猟現場へ向かう道中、山岡との関係を尋ねられた栗田は慌てて否定します。まり子はどこか栗田を試しているようでした。

狩猟には山岡らも勢子として参加。一緒に行動していた山岡・ブラック・末吉の3人は大猪に襲われ、末吉は崖に追い詰められますがコロが流血しながらも身を挺して末吉を守り、隙を突いた猟師が一撃で大猪を仕留めます。

勢子(せこ、せご)

狩猟の際、獲物を追い出したり、射手(待子:まちこ、立間:たつま)のいる方向に追い込んだりする役割の人。

小泉の説得

コロに関する一部始終を含めて記事にするも、小泉は「お涙頂戴」と揶揄し、東西グラフを認めません。山岡は小泉を説得するため平成寺冨坊でイノシシ鍋を食べさせると、その美味しさに感銘した小泉は東西グラフの協力要請を快諾します。

まり子からの礼に誇らしそう山岡を見た栗田は、不安を覚えたかのように眉をひそめます。

仁木まり子からの握手

平成寺冨坊からの帰り道、今度はまり子から山岡への恋心について図星を突かれると、栗田は言葉を濁して黙り込んでしまいます。
「抜け駆けはしない」と言うまり子はポルシェを急停止させ、呆気にとられた栗田の手を取って恋敵の宣言をします。

登場した料理、食材

イノシシ鍋

大皿に盛り付けた赤身肉と脂身から牡丹の花を思わせることから、ぼたん鍋とも呼ばれる。
山の栗、畑の芋など良いものばかり食べて育つイノシシは、家畜の豚に比べて臭みが少なく肉が柔らかい。

イノシシ鍋の割り下

八丁味噌、仙台味噌、白味噌少々を酒で練って混ぜて昆布とカツオの出汁で溶いて日本酒を加える。

鍋の野菜は椎茸、しらたき、長ネギ、白菜、ニンジン、焼き豆腐、えのき茸など。

ちなみに他の動物の肉の呼び方は以下の通り。

花木に掛けた肉の通称
肉の種類花木の名前
猪肉牡丹
鹿肉紅葉
馬肉

感じたこと

仁木まり子の声優は島津冴子

  • 美味しんぼ(まことの母親、第94話「梅干しの雨」)
  • 美味しんぼ(仁木まり子)
  • うる星やつら(三宅しのぶ)
  • 魔法の天使クリィミーマミ(綾瀬めぐみ)

やっぱり良い声です。
第94話「梅干しの雨」でもまことの母親として出演されているんですが、最後の一瞬だけだったので全然気付きませんでした。

猪食った報い=カルマ?

獣\猪\鹿食った報い

よい思いをした埋め合わせに、当然受けなければならない悪い報い。

作中に出てくるイノシシ狩りの画には平地住居のような建物が見られます。平地住居は最初は豪族の家として建てられましたが、古墳時代の終わり頃には一般普及したので、この画は古墳時代(西暦250年、終了年:西暦538年)の終わり頃以降ということでしょうか。(平地住居に関するソース

昔の猪(イノシシ)や鹿(シシ)が非常に貴重なタンパク源だったことからこういったことわざが出来たと云われているそうですが、この頃には中国や朝鮮からの渡来人は既に来ていたので、インド等からの概念が伝わっていても不思議はないんですが、これって実にカルマっぽい。

とは言え、業の概念では善悪の認識もなければ善悪で帳尻が合うという考えもないはずで、あくまでも「やったことは繋がっていく」だけ。もしカルマ由来であるなら、「プラスを得た人はマイナスを受けるべき」と捉えるのではなく、「間違ったおこないをすると間違った結果が返ってくる」と捉えるべきなんでしょうが、ことわざ自体の解釈としては前者の意味合いが強い。

実際、最近は「プラスを得た人はマイナスを受けるべき」と考えている人はすごく多いように感じます。昔からそうなんでしょうか?人を妬んだり羨んだり・・・ある学者さんの言葉をお借りすれば田吾作平等主義っていうか。

ドアップのクリコ可愛い

ポルシェで移動中、仁木まり子からあなた、山岡さんとどういう関係?って聞かれた時のクリコのドアップ作画、めっちゃ気合入ってていいですね。

あの一撃でイノシシは死なん

ヘッドショットならまだしも、横っ腹に打っただけですぐに倒れ込むイノシシは滅多にいないんじゃないでしょうか。心臓に当たってもすぐ草むらに逃げ込んで、血の跡を追いかけるような場合も多々あるのに、ましてやあの位置だと肝臓か肺辺りでしょうから、早く2発目を入れないと見失う場合もあります。

猪肉は本当に美味しい

うちは知り合いの猟師から分けて貰えてほぼ毎年冬になると食べれるんで助かってます。本当に美味しいですよね。
士郎は「臭くない、味噌が合う」って言ってましたけど、私としては「独特の臭みを消すために味噌は使い勝手が良い」と感じていますが、最上級品だとそんなに臭くないんでしょうか?ぜひ試してみたいものです。