『美味しんぼ』TVシリーズ第42話「大豆とにがり」の感想
1989年9月18日放送、アニメ版の『美味しんぼ』TVシリーズ第42話「大豆とにがり」を観ました。(美味しんぼTVシリーズ第42話)
もくじ
あらすじ
快楽亭八笑の千早振る
谷村部長から切符をくれたのでみんなで落語を聴きにいくことに。お目当ては名人快楽亭八笑の千早振る。
谷村部長は昔から八笑師匠と懇意で、文化部員も一緒に飲むことになります。
- 千早振る
別題は百人一首、無学者。
小倉百人一首にある在原業平の「ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」の歌の解釈について、隠居が即興でいい加減な解釈を付け足していく話。
豆腐料理「千珍」
300年前からやっているという老舗の豆腐料理「千珍」で豆腐料理を食べますが、一品目から美味しくありません。カウンターでもStan Black(スタン・ブラック)と名乗る外国人男性が「カリフォルニアの豆腐の方が美味しい」と言って板前と口論になります。八笑も数年ぶりに来ましたが、板前は2年前から務めているとのこと。
ブラックはTHE BOOK OF TOFUなる自著を差し出し、自分の豆腐好きを説きます。
- Stan Black(スタン・ブラック)
豆腐の本を出すほど豆腐好きのアメリカ人。後に、八笑師匠に弟子入りして快楽亭ブラックを名乗る。
みやこ豆腐
山岡らは自然食品「みやこ豆腐」で本物の豆腐の製法を見学し、本物を知った板前は陳謝します。
後日、八笑師匠に街なかで出くわしたかと思うとその傍らには着物姿のブラックが。ブラックは八笑師匠に弟子入りして、快楽亭ブラックを名乗っていました。
登場した料理、食材
本物の豆腐
無農薬天然乾燥の大豆(機械乾燥ものだと水漬けで割れてしまう。また、酷いところだと大豆油の絞り粕の大豆粉を使う)
100m以上の地下水を使用
茹でた大豆には消泡剤を添加しない
ここで豆乳とオカラに分ける
豆乳に人工の苦汁(にがり)を加える
しかし豆乳の凝固に時間が掛かり、濃い豆乳が必要なため、多くの豆腐屋は塩化マグネシウムすら使わず硫酸カルシウムやグルコノデルタラクトン(G.D.L)を使う
凝固剤 | 生産量 |
---|---|
塩化マグネシウム(人工にがり) | 420丁 |
硫酸カルシウム | 1500丁 |
グルコノデルタラクトン | 3000丁 |
豆腐料理「千珍」で供された料理
- あんかけ豆腐
THE BOOK OF TOFUに載っている豆腐料理
- 豆腐ステーキ
- 豆腐のアイスクリーム
- 豆腐サラダ
感じたこと
お蔵入り回(TVシリーズ第42話)
快楽亭ブラックは第37話「黄身と白身」で初登場していますが、本当の初登場はこのTVシリーズ第42話「大豆とにがり」です。この回を見てから第37話「黄身と白身」を見ると、話が繋がります。
凝固剤の種類
作中のにがりに関する話は本当か?ということで調べてみました。
- 塩化マグネシウム
一般的に認知されている「にがり」から抽出されるもので、「にがり」と表示できる。
塩化マグネシウム由来の凝固剤には2種類ある。- 天然海水にがり
海水から塩分を除去したもの。
- 粗製海水塩化マグネシウム
にがりから塩化カリウムや塩分などを除去したもの。
凝固が早いため、撹拌や投入のタイミングに技術を要する。豆乳の甘味や味をしっかり引き出せる。
- 塩化カルシウム
これを使用すると豆腐の味が落ちるとされ、主に加工食品用として使用される。
- 硫酸カルシウム
別名「澄まし粉」。軍需に回されたにがりの代用品として普及した。凝固が遅く、豆乳への添加後にしっかりと撹拌できるため、豆腐を作りやすい。
- グルコノデルタラクトン(G.D.L)
他の凝固剤が塩凝固であるのに対して、でんぷん由来のグルコン酸による酸凝固反応を用いる。なめらかな仕上がりで、絹ごし豆腐に適している。
作中には「にがりは凝固が遅いから大変だ」という主旨の会話がありましたが、実際の性質とは異なります。
また、「日本の海が汚染されて」というくだりも、ちょっと誇張しすぎなんじゃないでしょうか。他にも、G.D.Lの使用について具体的な問題点を挙げるわけでもなく漠然と「やばい」という論調だったので、この辺がお蔵入りの原因になってしまったんでしょうか?
TVシリーズであれば、次回は第33話「青竹の香り」(TVシリーズでの第43話)へと繋がります。(ややこしい)
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