『美味しんぼ』第80話「究極VS至高~エイと鮫(前編)」の感想

1991年2月12日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第80話「究極VS至高~エイと鮫(前編)」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第93話)

あらすじ

房元栄男の鮫映像

映像作家・房元栄男の作品に惚れ込んだ田中プロデューサーは制作費1億円を掲げて房元との特別記念番組の制作を提案しますが、房元は田中の外見が気に食わない、感受性が合わないと言って拒否。
専ら撮影している鮫に関しても、鮫料理は食わない、と何に関しても食わず嫌い。山岡は美味しい鮫を食べさせることで房元の懐柔を図ります。

田中プロデューサー

大日本テレビの番組プロデューサー。房元栄男との初対面では顔、声、服装の趣味、安物のオーデコロンの臭い、髪型まで嫌われる。

説得

山岡は房元を説得すべく、まずは煮こごりを食べさせて鮫独特のアンモニア臭を確認させます。
そして大阪では小鮫のソテー オレンジソース、更に広島ではお造りから茶漬けまで出して、房元は鮫の美味しさには納得ます。しかし、エイの料理はまだ出ておらず、納得していませんでした。

エイ料理の究極VS至高へ

これは好機だと週刊タイム 三河元良は考え、エイ料理を究極VS至高へ発展させることを提案します。
後半へ続く。

登場した料理、食材

マウント・ハイで供された料理

豊丸デパート10階の特設会場で開かれていたオーストラリアフェアに出店していたオーストラリア・レストラン マウント・ハイのボブ・ホーナーによる料理。

  • 小鮫のソテー オレンジソース

鮫をバターで焼いて、白ワインで風味を付けてからオレンジソースをかけたもの。

まんさく茶屋で供された料理

広島県庄原農業改良研究所 生活改良普及員の小林先生によると、鮫が生で食べられていた地域は京都、滋賀、長崎、特に奥備後、ことさら比婆郡が盛んで、奥備後では鮫のことをワニと呼ぶという。
島根県と広島県の県境にある奥備後は山岳地方で、海からは遠い。普通の魚なら3日で腐るところ、排尿器官が未発達でアンモニア分が溜まりやすい鮫なら半月は保つので、保冷・通運が未発達だった昔は内陸部で食べられていた。

  • 鮫のお造り(生姜醤油)
  • 鮫の湯ぶき
  • 鮫の南蛮漬け
  • 鮫のフライ
  • 鮫茶漬け(香り茸:キノコの塩漬け)

まんさく茶屋で使う鮫は各地方の漁港から取り寄せている。

  • 島根県太田市の漁港
  • 四国の高知
  • 和歌山の勝浦

感じたこと

アンディ・ウォーホルの曲解

”外見こそ全てである”
アンディ・ウォーホルの言葉だ

房元栄男

と房元は言っています。彼の文脈によれば「内面性は自然と外見に現れるものだ」という主張です。でもこれは曲解のようにも思えます。
というのも、アンディ・ウォーホルは他にもこんな言葉を残しているからです。

アンディ・ウォーホル

ポップアートにおける写真家、画家、版画家、映像作家などのマルチアーティスト。

Think rich, look poor.

考えは豊かに、見た目は貧しく

Andy Warhol
I am a deeply superficial person.

私は本当に、うわべだけの人間だ

Andy Warhol

彼のことを調べていて気になったのが、オスカー・ワイルド唯一の長編小説作品ドリアン・グレイの肖像 The Picture of Dorian Gray, 1890年)。これについてはまた今度。