『美味しんぼ』第89話「グルメ志向」の感想
1991年5月28日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第89話「グルメ志向」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第103話)
もくじ
あらすじ
評論家・桜田先生への依頼
三谷直吉(花村の夫)とハワイ旅行に行き、悪天候で帰りが遅れた花村は、帰路に成田空港から直行で出勤し、土産に買ったマカダミアンナッツのチョコを振る舞います。一方、小泉局長も家族サービスでフランス・パリに行ってブランド菓子のお土産。
小泉は、近年、東京に出店している北京、広州、香港などの有名な中華料理店、三ツ星のフレンチレストランなどを特集記事で取り上げ、その評論に桜田氏を起用してはどうかと提案。
- 桜田先生
文学、音楽の評論が専門だが最近では食べ物や社会評論でも活躍。
外国体験も豊富で、日本と外国の食文化を比較して論ずるのも得意。店や料理人におもねらない辛口の評論家として有名。
山岡と栗田は依頼に出向きますが、食べ物評論に虚しさを覚えた桜田に「レストランに行けば分かる」と断られます。
桜田が断った理由
実際2人が有名店に言ってみると、客は「金さえあれば何でも買える」と言わんばかりの態度。桜田邸を再訪した山岡は「レストラン=食文化の華=食文化はその国の重要な一部」を金だけで買えると思っている人たちと海外のブランド品を買い漁る観光客とを重ね合わせます。
桜田は中身のないブームを煽ってしまっただけで自分の評論には意味がないのではないかと悔恨し、山岡は今更そんなことをいうのは無責任だと責め立て、2人は物別れに終わります。
精進料理で説得
桜田は東西新聞社にとって重要な評論家で、もし食べ物以外の本業でも寄稿がなくなれば社にとって大損失。大原社主は一部始終を聞いても尚、桜田説得を山岡に命じます。
早朝に桜田邸を再訪した山岡は桜田を山中の光鹿院に連れていき、予約しておいた精進料理を摂らせ、そこで出た胡麻豆腐の製法と美味しさで桜田の執筆意欲を焚き付けることに成功します。
登場した料理、食材
社員のお土産
- ハワイのマカダミアンナッツチョコ(花村さん)
- フランス・パリのFAUCHON(フォション)のチョコ(小泉局長)
海外高級レストランの日本支店
- 広州大酒楼
料理人は広州から呼び寄せ、食材も香港経由で空輸したもの。最上のものを取り寄せているので本店より美味しいかもしれないという。
- CHEZ ALAIN
フランス・パリの本店のNo.2のシェフが指揮を取っている。パリ直送の食材も使い、店内の雰囲気まで本店そっくり。
- 大福門
本店は香港一高級な中国料理店とされる。
光鹿院の精進料理
- ご飯
- 沢庵
- ごま豆腐
- 焦げないように丁寧に炭火で煎った白ごまを油が滲むまで擂り鉢で擂り、布で包んで鍋に張った水の中でじっくり揉みだす(皮を取り除くことで灰汁を減らし、食感を良くする)
- 吉野の本葛・塩を加えて、しゃもじでかき回しながら煮る
- 透明になってきたら容器に流し込んで1,2時間冷やす
- 適当な大きさに切り分け、昆布で取った出汁に浸す
感じたこと
日本人の爆買いは悪くない
1990年前後の日本では海外での爆買いがあって、便乗して買うものもいれば士郎や小泉局長のように「浅ましく情けない、下品」と思う者もいるようです。
でも1980年代はドル円=270円台が120円台まで急騰したので、為替差を有効活用することは、浅ましくもなんともありません。実質的に海外が安売りをした分、買い手の日本円が得をしている形です。
それなのに、2010年代の日本でよく聞かれたのが「外国人による爆買い」で、これについて「日本が得をしている、買い手が浅ましい」と思っている人が少なからずいることに憂いています。輸出業の売上上昇は円安コストプッシュの弊害に遠く及ばないのに。
「ご足労はお掛け致しません」からの流れに笑った
- 士郎「ご足労はお掛け致しません」と桜田先生との朝食を請う
- →次のシーンでいきなり山と田園風景
- →更に山奥の光鹿院と長い階段
どこのブランドのパロディ?
- フランス・パリ CHAMEON ← CHANEL?
- ニューヨーク5番街 BOLLG ← BVLGARI?
私がブランドに疎いせいなのか、あるいはスポンサーになりうるブランドを揶揄する形で登場させているので崩しまくっているせいなのか分かりませんが、どのブランドのパロディかは特定できませんでした。
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