SF映画『コンタクト』の感想

カール・セーガンのSF小説を原作としたアメリカの映画『Contact』(1997年)を観ました。
若い頃に深夜にTVで見たこともありましたが、それ以来です。

概要

概要
タイトル原題初公開日ジャンル時間rating制作費売上監督
コンタクトContact1997年7月11日SF映画153分アメリカ13+9000万ドル1億7112万329ドルロバート・ゼメキス

制作費が約100億円なのに興行収入が180億円というちょっと収益の振るわなかった映画。『インターステラー』の制作費が180億円、興行収入が700億円だったのと比べるとそう思わざるを得ない。

あらすじ

ジョディ・フォスター演じるアロウェイ博士はアレシボ天文台でSETI(地球外知的生命体探査、Search for Extra Terrestrial Intelligence)プロジェクトに携わってきたが、研究費を打ち切られる。

方方を駆け回った末にハデン社の協力を得てニューメキシコ州の超大型干渉電波望遠鏡群で探査を続けていると、ある日、26光年離れたヴェガから断続的に送られてくる有意な電波信号を受信する。

ネタバレ無しの感想

『インターステラー』とは別の面白さがある

直近で觀たSF映画といえばクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』。どちらも面白かったのですが、それぞれに違う面白さがあります。

『コンタクト』の17年後に作られた『インターステラー』(2014年)はより先進的、科学的、具体的でスペクタクル要素が強くありながらも、サスペンスと恋物語を織り交ぜたストーリー。『コンタクト』より未来的でありながらもリアリティが強い。

一方、『コンタクト』(1997年)は科学的でありながらも、宗教的、風刺的、幻想的で神秘性を込めた抽象度の高い描写です。宇宙自体もほぼワームホールのシーンしかありません。
大人になってから見返してみても、宇宙の神秘性やワクワク感みたいなものを思い出させてくれました。

SF映画『コンタクト』と『インターステラー』の製作者との繋がり

製作総指揮:リンダ・オブスト

『コンタクト』の制作総指揮はリンダ・オブストですが、原作者カール・セーガンはリンダ・オブストと理論物理学者のキップ・ソーンの2人を引き合わせ、後にこの2人は『インターステラー』の制作に携わります。

マシュー・マコノヒー

『インターステラー』では主人公の宇宙飛行士。『コンタクト』では政府の宗教顧問。

映画製作者の繋がりを知るのも面白いし、自分が面白いと思った映画の製作者に同じ人が関わっているというのもまた面白いですね。

『インターステラー』のリンクはこちら。↓

音楽はアラン・シルヴェストリ

ロバート・ゼメキス監督とアラン・シルヴェストリが組んだ作品の一部がこちら。

  • バック・トゥ・ザ・フューチャー Back to the Future (1985年)
  • フォレスト・ガンプ/一期一会 Forrest Gump (1994年)
  • コンタクト Contact (1997年)

カール・セーガンにささぐ

カール・セーガンは1996年12月20日に逝去、映画公開は1997年7月11日。彼は自分の小説の映画化喜び、心待ちにしていましたが叶いませんでした。そのため、映画のラストにFOR CALEという言葉が挿入されています。

カール・セーガン

カール・エドワード・セーガン(Carl Edward Sagan, 1934年11月9日 – 1996年12月20日)は、アメリカの天文学者、作家、SF作家。

ネタバレありの感想

北海道標津町に第二の装置

「2つ作れるならついでに作れ」ってことで、管理は米国、建造は日本の下請け会社の下、日本には第二の装置が建造されていました。
場所は北海道の標津町(しべつちょう)ですが、泊湾内の野付半島にくっ付くような形で飛び出した架空の半島が描写されています。

でも現実だと、普通に標津町の街から建造物が民間人にも丸見えなんですよね。もうちょっとリアリティのある場所にすべきだったんじゃないかなと思わざるを得ません。

オッカムの剃刀(Occam’s razor)

作中では単純な説明ほど正しいものであると言って、次の2つのどちらが正しいかを争っています。

宇宙人に教わった装置で銀河系の中心まで行ってパパと浜辺で過ごし一瞬ののち手ぶらで帰ってきた

あなたの経験はハデンが打った芝居の副産物だった

でもこれってちょっと用法が違う気がするんですよね。オッカムの剃刀って本来はある事柄を説明するには余計なものを付け加えるべきじゃないし、かといって省き過ぎも良くないみたいなものなので。

オッカムの剃刀は作中でちょいちょい出てくるんですが、どれも用法とはズレているような気がして、見ていてしっくり来ませんでした。