映画『ジョー・ブラックをよろしく』を観た感想

アンソニー・ホプキンス、クレア・フォーラニ、ブラッド・ピット主演の1998年アメリカ映画『ジョー・ブラックをよろしく』(原題:Meet Joe Black)を観ました。

概要

概要
タイトル原題初公開日ジャンル時間rating制作費売上監督
ジョー・ブラックをよろしくMeet Joe Black1998年11月13日ファンタジー・ロマンス・コメディ129分、181分アメリカ13+、PG-1385,000,000ドル142,940,100ドルマーティン・ブレスト

2つのバージョン

  • 181分(オリジナル版)
  • 129分(アラン・スミシー版)

Amazonプライム・ビデオで観れるのはオリジナル版です。

元ネタは『明日なき抱擁』

『ジョー・ブラックをよろしく』の元ネタは1934年のアメリカ映画『明日なき抱擁(en:Death Takes a Holiday)』。

『明日なき抱擁』でも死神が地上に降りてきて人の姿を借りてランバート公爵の邸宅で過ごし、公爵の娘(グラツィア)は死神に恋をする。死神が地上にいるあいだは世界から「死」が消え、植物は枯れず、死ぬはずの人も死ななくなる。

あらすじ

ある日、65歳の誕生日を控える大富豪ビル(ウィリアム・パリッシュ)の前に死神が現れる。死期が迫っていたビルは死神から「いくらかの延命の代わりに人間界の案内役をするよう」提案され、それを受け入れる。

ネタバレありのあらすじ

娘のスーザンは、会社の敏腕役員ドリューと交際しているが、ビルにはスーザンがドリューを愛しているようには見えず、「いつか恋すれば稲妻に打たれる」と助言する。その日のうちにスーザンはコーヒーショップで名前も知らない若者から似たような言葉を聞いて恋に落ちるが、分かれた直後に彼は交通事故に合い、死神は彼の姿形を借りてスーザンと再会する。

ジョー・ブラックと名乗ることになった死神はビルと行動を共にし、マンハッタンにある自宅での家族ディナーにも、役員会議にも、社長室にもついて回る姿を見て周囲は不審に思う。スーザンも初めて会ったときとは様子の違うジョーに戸惑うが、それでも二人は惹かれ合っていく。

ビルが創業・経営するパリッシュ・コミュニケーションズは、色に染まらないニュースがウリのメディア企業だが、会社は危機にあり、ボンテキュー氏のオファーによる会社合併の話は契約直前まで進んでいた。これを受け入れればボンテキュー氏の言いなりになるということを懸念したビルは方針を翻すが、ドリューは秘密裏に開いた会合で他の役員を焚き付け、ビルは退任へ追い込まれてしまう。

知らぬ間にドリューの策謀に利用されてしまったことを嘆くクインスに対してジョーはビルにすべて打ち明けるよう助言し、事の顛末を知ったビルは激怒する。後日予定していた退任を前倒しして誕生日パーティーのゲストの面前でドリューへの会社委譲を発表するからと偽ってビルがクインスを使ってドリューを誘い出すと、ジョーは自分が秘密調査をしている国税局のエージェントであると偽り、ドリューを欺いて彼に手を引かせるよう仕向けた。

パーティーがクライマックスを迎えるとビルとジョーは冥府へ向かって歩き出す。石橋の向こうから帰ってきた若者の様子が今までと違うことでスーザンはすべてを悟り、彼をビルに合わせたかったと惜しむ。

感想

3時間を超える大作でありながら、独特の設定からその長さを感じさせない面白さがありました。

スーザンの目に吸い込まれそう

もう彼女の目を見るためだけでもこの映画を観る価値があるといってもいい。

好きなシーン

何度も振り返るジョーとスーザン

この映画といえばこれ、本当に記憶に残るシーンですよね。何回観てももどかしくて、何回観てもいい。5月みたいなめちゃくちゃ爽やかで涼しげな空気感もいい。

好きなセリフ

生きるとは

ビルがスーザンへのアドバイスとして「生きること」に言及しています。

(I know it’s a cornball thing but) love is passion, obsession, someone you can’t live without. If you don’t start with that, what are you going to end up with? I say fall head over heels. Find someone you can love like crazy and who’ll love you the same way back. And how do you find him? Forget your head and listen to your heart. I’m not hearing any heart.

Run the risk, if you get hurt, you’ll come back. Because, the truth is there is no sense living your life without this. To make the journey and not fall deeply in love — well, you haven’t lived a life at all. You have to try. Because if you haven’t tried, you haven’t lived.

WILLIAM PARRISH|MEET JOE BLACK

恋は情熱だ ”相手なしでは生きられない”という想い 無我夢中で互いにのめり込んでいく— 頭じゃない ハートの声を聞くんだ その声が聞こえるか?

その経験のない人生など— 恋を知らない人生は意味がない その努力をすることが生きるってことだ 心をオープンに いつか稲妻に打たれる

ウィリアム・パリッシュ|ジョー・ブラックをよろしく

人間界に興味の沸いたジョーは、ビルのこの言葉を聞いて彼を案内役に抜擢しました。結婚が成就することよりも、生きること(=その努力をすること)にフォーカスしている感じがとても良かった。「失敗したり傷ついてもいい、恐れずに自分の心の声を聞いて恋愛にのめり込め」って、これが愛娘に言えるなんてなかなか情熱的な親父。

欠点を許してくれる

Because there’s nothing we don’t know about each other and it’s okay. I mean the deeper, darkest secrets– they don’t matter. Yeah, it’s like you know every inch of each other’s souls — and then you’re free. Free to love each other. Completely. Totally. No fear.

QUINCE|MEET JOE BLACK

欠点を許してくれる 一つの欠点ではなく すべてを 互いの秘密に通じてる 胸の一番奥の暗い秘密にさえ— 秘密のない自由— 解き放たれ 何も恐れることなく愛し合える 相手のすべてを知ってるから

クインス|ジョー・ブラックをよろしく

ちょっと地味なシーンなんですけど、この二人のやりとり好きなんですよね。それで、関係あるようなないような話なんですけど以前、芦田愛菜ちゃんが映画『星の子』のイベントで「信じる」について語っていたことがあって、通ずるところがあって、「クインスとアリソンのふたりは『信じる』のずっと向こう側にいるんだな」と感じたんです。

アリソンはいつもビルからスーザンのようには愛されていないと感じていて涙することもありますけど、ビルからすればアリソンにはクインスがいるし、二人は深く愛し合っているから心配ないと感じているのかも。

ビルの最期のスピーチ

ロウソクに何を願ったか教えましょう “皆さんに私のような幸運を"
朝起きて こう思う “私は満ち足りてる"
65年お歳月 またたく間でした

ウィリアム・パリッシュ|ジョー・ブラックをよろしく

自分が常に充足しているという自己肯定感はとても大事です。それがビルのように実態を伴っていなくても。

この映画を通して、人生について考えさせられました。自分が余命を宣告されたら、それもとても短い余命を。この日常を続けるのか。そう自問すると、本当に多くの無駄なことに時間を浪費しているな、と気付かされます。