パーカー、スウェット、トレーナー等の違い

2019年11月6日

正直、この辺の言葉を自分の中で曖昧にしてきてたので、まとめることにしました。

経緯:「ファスナーで開閉できるパーカーのフード無いやつ」の名前って何?

ファスナーで開閉できるけどフードがないトレーナーみたいなやつ。こういう服をネットショップで探そうと思ったんですけど「そういえばなんて名前で検索するのがベストなんや?」って困ったことがあって、まとめようと思ったんです。
↑↑↑ちなみにこれの答えは

  • ジップアップスウェット
  • ジップアップジャケット
  • ジップアップスウェットジャケット
  • スウェットジャケット(フード無し)

などです。1つでは望み通りの検索結果は得られず、いくつかのワードを試す必要があると思います。

まとめ

調べて気づいたことは主に2つ。

国や地域によって表現と意味が異なる

1つ目は、地域によって指しているものが違うことが多いということ。日本と欧米で違うこともあれば、ヨーロッパと英語圏で違うこともあるし、更には英語圏の中でさえアメリカ英語圏とイギリス英語圏(ニュージーランドやオーストラリア等)、で意味や表現が違う場合もあります。

海外の人も混乱してる

2つ目。日本国内でも例えば「トレーナーとスウェットはどう違うの?」みたいな混乱はあるけど、実はこの混乱は日本だけじゃなくてどこの国でも起こっていて、「これ=こう呼ぶ」っていう明確な答えは無い。結構適当というか混乱しているというか。定義が曖昧というよりも、皆が定義をよく知らないから混乱しているという方が正確かも?

「鶏と卵じゃない」けど、「皆がパーカーと呼ぶからこれがパーカー」なのか「これがパーカーというものだから、皆がパーカーと呼んでいる」のか、もはや何が正しいのかさえ分からない。言葉というものはどっちにも成り得ますからね。なので、あんまりこだわり過ぎたり深く考えたりするのはやめましょう。根が深すぎる(笑)

もっと言うと、定義なんか抜きにして、市場で売り手がどんな意図を持って売っているかによって表現を変えている場合すらありますから、ネットで検索するにはいろんな言葉を検索する必要があります。

まぁこういうことを踏まえて続きを読んでもらえたらと思います。

呼称の一覧表

各国の呼称の一覧表
衣類の様式 日本 アメリカ イギリス
腕と胴体を覆い、前面が閉じている セーター セーター、プルオーバー セーター、プルオーバー、ジャンパー
前面が開いていて腕を覆うニット カーディガン セーター、カーディガン セーター、カーディガン、ジャンパー
女性のノースリーブのドレス エプロンドレス、ピナフォア ジャンパー ピナフォア
腕と胴体をコットンやジャージで覆い、前面は閉じている トレーナー スウェットシャツ ジャージー
スウェット生地で、フードが付き、前面は閉じている パーカー フーディー フーディー
スウェット生地で、前面は開いている ジップアップトレーナー、スウェットジャケット スウェットジャケット、フルジップフーディー スウェットジャケット、フルジップフーディー
アスレチックシャツ ジャージ ジャージー ジャージー、キット
Tシャツ Tシャツ Tシャツ Tシャツ
ノースリーブニット ノースリーブニット、ノースリーブセーター、ベスト セーター、ベスト、スリップオーバー
ノースリーブの肌着 タンクトップ タンクトップ ベスト、シングレット
フォーマルなノースリーブ ベスト、チョッキ ベスト ウェストコースト(ウェスケット、ウェイストコート)

スウェットシャツ(Sweat-shirt)

スウェットシャツ(日本のトレーナー)

パーカーの話をするには、まずスウェットの説明をしないといけません。

スウェットシャツとは、スウェット生地のシャツのことで、フードの有無は問いません。これは世界的に共通しているみたい。
英語圏ではsweatshirt(スウェットシャツ)やsweatpants(スウェットパンツ)と上下を呼び分けていることが多い。ちなみに英語圏では「スウェット生地の」という意味はありません。
アメリカのSweat又はSweatshirt(スウェットシャツ)=日本のトレーナー=イギリスのjersey(ジャージー)と解釈して良い。1

スウェット=プルオーバー

プルオーバー

英語では「pullover」。
頭からすっぽりと被るようにして着る服の総称。セーター、パーカー、ワンピース、シャツ(Pullover shirt)など。首元に2,3個のボタンがある場合でも、頭から着ることに変わりはないのでプルオーバーと呼ぶ。これは英語圏でも日本語圏でも同じ意味を持つ。

普通、スウェット=フードが無いプルオーバー(前が開かないタイプ)をイメージしますけど、フランス語版「Sweat-shirt」の項や英語版の「Sweater」の項に従えば、この認識は正しいみたいです。2

でも英語圏の人はネットでスウェットを検索する時「Sweatshirts without hoods(フードなしのスウェット)」と調べたりするし、「Full Zip Sweat」と謳う商品が見られます。本来、フード無しがスウェットの条件なら「フード無し」と付け足さなくても検索結果に出るはずだし、フルジップスウェットは「スウェットジャケット」という言葉があるのだからそれを使えばいいはずですよね?でも皆はそういう言葉を使って検索しているんです。これは、きっと海外の人も混乱しているからなんだと思います。

ちなみに英語版Wikipedia「Sweater」の項によると、「Sweatshirt=プルオーバー+長袖」と書いてあります。また、フランス語版のWikipedia「スウェットシャツ」の項にも「スウェットシャツ=丸編機によるループ状(筒状)の胴体を持つ、またはスイス製品」とあります。筒状の生地を胴体に使っているので、本来のスウェットの両脇にはサイドシーム(縫い目)が無い2

スウェットシャツの起源

1930年代のアメリカのロッカールームが起源で、元々スポーツマンが着ていた重くて汗を吸いにくいセーターを改良したものです。だから「汗をかくことができるシャツ」の意味としてスウェットシャツと命名されました。

日本のトレーナー

スウェットシャツは、日本では「トレーナー」と呼ばれていて、そう呼べば誰もが思い浮かべる服。上下セットならスウェットスーツ、トレーナースーツとも呼ばれています。

日本ではスウェットには2つの意味があります。1つは伸縮性、吸汗性に優れた厚手の生地のこと。もう1つは、その「スウェット地」を使ったプルオーバーのシャツのこと。

トレーナーの起源

トレーナーの語源はスポーツジムの指導者(=トレーナー)が着ていたことが由来。でもこれは日本が発祥という意味ではなく、海外でSweatshirt(汗をかくことができるシャツ)と命名されたものを、日本でリネームしただけ。

海外のトレーナー

日本で「トレーナー」と言えばフードの無いスウェット地のプルオーバーのトップスを指しますが、英語圏でTrainers(トレーナーズ)と言うと、普通はスニーカー(靴)を意味します。4

スウェットパンツ

イギリス英語圏ではtracksuit bottoms(トラック・スーツ・ボトムズ)またはjoggers(ジョガーズ)と呼ばれています。オーストラリアではtrackpants(トラックパンツ)、trackies(トラッキーズ)またはtracky DAKS(トラッキー・ダックス)と呼ばれています。

パーカーとスウェットの違い

日本国内においてこの違いは、フードが付いているか付いていないか。フードがついていればパーカーと呼ぶし、付いていなければスウェットと呼びます。「フード付きのスウェット=パーカー」。

スウェットジャケット

フード付きのスウェットジャケット

日本国内のスウェットジャケット

日本国内では、スウェット生地で作られていて、前面が開いていて、ジップアップかボタンで留めるトップスを指します。フードの有無は関係ありません。本来「ジャケット=上半身を覆うもの」という意味しかないので、トレーナーみたいなものもあれば、襟(ラペル)のついたスーツみたいなタイプもあります。

なので、必ずしも「スウェットジャケット=ジップアップトレーナー」とは呼べません。だって、スーツみたいなラペルの付いた服でトレーニングする人なんていないでしょ?

欧米のSweat jacket

一方、英語で「Sweat jacket」と検索しても、スーツのような服は一切見つかりません。あくまでも「日本のトレーナー+ジップアップ」や「ジップアップのHoodie」だけです。

じゃあ日本で売られているようなスーツっぽいスウェットジャケットが何て名前かというと。

  • Sweatshirt Blazer(これが一番近いかも)
  • Knitted jacket(セーターっぽいものが多い)
  • Knitted Blazer(スウェット地ではない厚手のスーツが多い)

でも「これ!」っていう明確なのはありませんね。

日本のパーカー=欧米のHoodie(フーディー)

欧米のHoodie(日本のパーカー)

日本のパーカー

日本国内では、フードが付いているスウェット生地のトップス。ただ、フード付きのアウター(欧米のParka, anorak)を指す場合もあります。

欧米のHoodie(フーディー)

日本でパーカーと呼ばれているスウェット地の服は、欧米ではHoodie(フーディー)と呼ぶのが一般的です。hoodieはhooded sweatshirtを省略した言葉。

フーディーの起源

1930年代、アメリカ ニューヨークの寒い倉庫で働く労働者のために考案されました。

中国のHoodie

中国語では、Hoodieのことを连帽衫(リエンマオシャン、Lián mào shān)と呼びます。「帽子が連なった襯衣」という見た目から名付けられています。

カナダのHoodie

カナダのサスカチュワン州ではHoodieのことを「bunny hugs」と呼んでいます。でもこの呼称は地方性が強いみたいです。

ファスナーによる前面の開閉についての議論

「日本のパーカー」でも「欧米のHoodie(フーディー)」でも、前面がファスナーで開閉できるかどうかは関係ない(=プルオーバーかは関係ない)と考えている人とプルオーバーが条件だと言う人がいるみたいで意見が分かれています。

プルオーバーを強調するためにpullover hoodieと呼ぶ人もいますが、狭義には「フーディー=プルオーバー+フード付き+スウェット生地のトップス」です。3
ただ、英語版の「Hoodie」の項にはIn the province of Saskatchewan, hoodies without zippers are “bunny hugs.(カナダのサスカチュワン州ではジッパーの無いフーディーをバニーハグスと呼ぶ)という一文があります。5ジッパーではないことが前提ならわざわざ「ジッパーの無いフーディー」なんて言いませんよね?しかも英語版のWikipediaではジップアップの服の写真が掲載されていて、「ジップアップかどうかは関係ない」という論調です。

欧米のParka(パーカ)

欧米のParka(真ん中)

(↑良い感じの画像が用意できなかった。)

大抵、日本でパーカーと呼んでいるものは欧米ではこれをフーディーを指します。でもそれとは別に、欧米にもParka(パーカ、パルカ)=anorak(アノラック)という名前のフード付きの服があります。日本のパーカーという言葉は多分これに由来しているのだと思います。

でも指しているものはちょっとは違います。フード付きの服という点だけは共通していますが、英語圏のParkaは米軍が着ていたM65やM51のような軍用コート、モッズコートのイメージが強い。日本における「踊る大捜査線」の「青島のコート」、冬用のフード付きジャケット、マウンテンパーカーと同じ感覚です。つまりトップスではなくアウター。日本でも欧米と同じ意味で使う場合もありますが、スウェットのトップスのイメージが強いように思います。

元来、anorakはイヌイット(アラスカ先住民)が着ていたアザラシ皮の上着。日本ではアクセサリー化していますが、本来、フードの周りについている毛は、フード内への風の侵入を防いだり凍った生地が顔に張り付くことを防ぐ役割を持ちます。

ゴーグルジャケット

英語で「Goggle jacket」。顔を完全に覆い尽くす防風性のあるアウターウェア。目や口の部分だけメッシュ素材やレンズを使用しています。

セーターとカーディガンの違い

カーディガン

これも意外と意見が分かれています。

前面の開放の有無

セーター=前面が閉じている、カーディガン=ボタンやファスナーで開閉できる、という考え方。私もそうですし、多くの人がそういう認識ではないでしょうか?6

  • ウィクショナリー
  • オックスフォード辞典
  • ウェブスター辞典
  • プリンストン ワードネット

これらの英英辞典でも、どれもが「セーターとカーディガンの違いは前面開放の有無」だと位置付けていますね。

生地の厚さ

でも必ずしもそうではないらしいんです。7セーター=厚手で冬用、カーディガン=薄手で秋用という考え方。

でも、少なくとも共通しているのは、セーター=温度調節が不要なくらい寒い時に着るものという考えでしょうか。そう考えるとどちらの考え方にも合点がいきます。

出典、参考資料