取り木:盆栽で枝や幹から根を出させる技法

取り木に関する情報をまとめます。

取り木の意味と目的

取り木(とりき)とは、幹や枝の中腹発根させる技法のこと。

幹を短くする

土から近い部分で枝分かれした樹形にしたい場合。

先端で株分けする

先端に近い枝で取り木することで、その部分を本体から切り離して別の株として扱う。

取り木のコツ

使う枝

枝として分かれてから1年~5年以内のなるべく若い枝。幹に近くて太い枝ほど古い部分なので発根率は低い。

時期、季節

生命力の強い品種なら年中いつでも可能ですが、最適な時期は暖かくなり始めた3~7月(特に5月頃)がベスト。
ただし、休眠期の秋冬におこなう場合は発根までに時間がかかったり、失敗しやすくなります。

養生期間

5月前後におこなえば2ヶ月程度。太い幹で秋冬におこなうと6ヶ月程度で翌春まで掛かる場合もあります。

切る幅

枝の太さ(直径)の1.2倍~1.5倍が目安。

木が元気な場合で、温暖な場所や時期で養生する場合は広めに切り取ります。逆に、寒い時期、元気のない木の場合には少し狭い幅で幹を露出させます。

狭すぎると枝が出る前に切り口同士が繋がってしまうし、広すぎると木の負担が大きくなってしまうので、全体の条件を鑑みて注意しましょう。

樹皮の奥にある薄皮

樹皮を剥いたら緑色の薄皮が出てきますので、しっかり除去して茶色い部分が露出するまで剥ぎ取ります。

取り木の方法と種類

取り木は主に次の3つに大別されます。

  • 高取り法
  • 圧条法
  • 盛土法

更にそれぞれにも細分化した方法があるので、大別ごとに記します。

高取り法

主に4種類あります。

環状剥皮

幹の周囲を一定の厚さで剥皮する方法。最も有名で一般的。

半月剃り

取り木する部分の上下は浅く中心部は深く剥皮する方法。

切り込み

先端に向けて鋭角なV字の溝(接ぎ木と上下逆のような切込み)を作り、乾燥水苔で養生する方法。

針金巻き(針金結束法)

枝や幹に針金をコイル状に巻きつけて強く締め込むことで、上から降りてきた養分を堰き止めて、針金の上部で発根させる方法。
針金の上端周辺を水苔やビニールポットで養生する。

圧条法

茎や枝の途中を曲げて、土中に埋没させる方法。

先取り法

枝の先端5 cm前後を土の中に埋め込む方法。

土中取り木法:撞木取り木法(しゅもくとりき)

地面に近い枝を水辺に倒して全体を土に埋没させる方法。

波状取り木法

1本の枝で、2箇所以上を土に埋没させる方法。1本の枝で複数の取り木を同時におこなえる。ただし、波状に枝を曲げなければいけないので、蔓性の植物でしか使えない。

盛土法

茎や枝は変形させず、盛土をして埋没させる方法。