Davinci ResolveとSONY α7S IIIの運用方法と方向性(瀬戸弘司さんの動画を観て思ったこと)
Youtuberの瀬戸弘司さんがSONY FX6を購入後に間もなく出してた動画を見て、私の運用方法がまたひとつ確かなものになった気がしました。
この動画ね。下の2つの動画で主に私が言及したいのはプロキシの扱い方についてです。1つ目の動画ではプロキシについて瀬戸さんは肯定的に話しています。
結論
暫くはこういう構成でいこうと思います。
項目 | 詳細 | 備考 |
---|---|---|
編集ソフト | Davinci Resolve Studio | |
記録方式 | XAVC-S 4K 4:2:2 10bit(プロキシ無し or 有り) | 30 fps |
記録カード | 256 GB~ (V90) | CFExpress A&ALL-Iを使わない |
ストレージ | HDD RAID 5 or 6 | 40 TB(14 TB✕4)~ |
キャッシュ保存先 | M.2 SSD(1 TB~) |
この構成の何が良いのか、下記で説明します。
プロキシ無しでも良い
理由はこの2つ。
- グラフィックボードの負荷は「プロキシ有り」でも変わらない
- プロキシメディアの管理が面倒
プロキシ有りのメリット
α7S IIIならプロキシ記録ができます。プロキシ記録を使って動画を編集すれば2つのメリットを得られます。
PCの負荷を減らせる
且つALL-Intraじゃないから保存データが膨大にならない
プロキシについて瀬戸さんがトーンダウンしてた
瀬戸さんは、つよつよ自作PC作成後にはプロキシの有用性について若干トーンダウンしていました。
でもDavinci Resolveを使う前提では、この結果には若干懐疑的。これはPremiereとDavinci Resolveの違いなんでしょうか?
私も自前のショボショボPCで同じ動作を試してみたんですが、FHDのプロキシを数枚重ねても余裕でシークバーをランダムに高速で移動するギュルギュル移動ができました。
Premiereではちゃんとプロキシのリンクが出来てないんじゃないかな?と疑ってしまうくらい全然違う結果でした。
プロキシ有りのデメリット
プロキシには確かに有利な部分もあるんですが、私としてはデメリットの方が目立つ。
グラフィックボードの負荷は減らない
私が普段使っているデフォルトに近い設定だと、仮にプロキシをリンクさせても負荷が減るのはCPUだけで、グラフィックボードの負荷は一切変わりませんでした。(レイヤ1枚なら17-20%程度)
また、CPUの負荷もプロキシ無しでは使用率35%です。プロキシ有りなら確かに10-15%前後に下がりますが、私としてはそこまで大差がない印象。例えば、もうちょっとPCスペックが低くて負荷が90%が30%に改善するなら効果は大きいかもしれませんが・・・。
この辺の数字は環境によってかなり違ってくるので詳細を言うと、メディアは4K 4:2:2 10bit 30 fpsと1080pのプロキシをリンクさせた場合です。
PCはCPUがIntel Xeon E5 2697 v2(12コア24スレッド)、グラフィックボードはGTX 1660 SUPER。Youtuberも含めたPC構成の一覧は下記リンクでまとめています。
プロキシの解像度やビットレートを下げる等して設定を詰めればもうちょっと軽くなるかもしれませんが、それでもグラフィックボードの負荷が変わらない以上は魅力を感じません。
また、プロキシが無い状態からプロキシや最適化メディアを生成することも可能ですが、生成に時間が掛かってしまう時点で「出来れば使いたくない」という感覚になります。
プロキシメディアの管理の手間が増える
- 手動でプロキシの指定が必要で面倒
- ファイルの管理自体が面倒
- プロキシメディアをレンダリングに使うミスが発生する可能性もある
プロキシメディアはメインのデータと同じフォルダでも違うフォルダでも機能しますが、何故か失敗する場合もあります。フォルダを分けたほうが安定します。でもそもそも動画を作る度にプロキシを指定するのが面倒です。
また、ファイルが多い場合は間違えてプロキシメディアをタイムラインに放り込んでしまうミスが発生する可能性もあります。そうするとレンダリング時にはプロキシメディアで書き出されてしまいます。気をつけなければいけないことが増えるのは厄介。
ファイルをフォルダに入れておくだけでDavinci Resolve側で自動的にプロキシとの識別とリンクをしてくれるのであれば、私もプロキシを使ってもいいなとは思うのですが。
Davinci Resolveには上の「再生」メニューに「使用可能な場合はプロキシを使う」っていうメニューがあるので、もしかしたら違う機材の動画ファイルなら自動的に判別して利用してくれるのかもしれませんが、少なくとも2021年2月執筆時点ではSONY α7S IIIで生成するプロキシメディアを自動リンクしてくれませんでした。
V90のmicroSDカード
画質だけを優先すれば理想はCFexpress Type Aカードを使ってALL-Intraで撮影することです。でも・・・
- データが膨大になる
- カードの価格が高い
- 保存容量も小さい
なので、コストを考えると実用がちょっと難しい。
そこで、V90のmicroSDカードの使用です。出来れば256 GB 以上。
V90なら4K 4:2:2 10bitをXAVC-S(H.264)で撮れるし、4K120pのスロー&クイックモーションも撮れるので汎用性が高い。
なぜ256 GB以上を推奨するかというと・・・重複するので詳細は下記リンクを読んでみてください。
ストレージはRAID 5 or 6のHDD
HDDでは動画編集に転送速度が追いつかないと思っている人もいるかもしれませんが、個人的には全然そんな風には感じません。
確かにHDDが1台だけだとそういうこともあるかもしれませんが、RAIDを組むと、4台あれば遅い時でも500 MB/sくらい出ますから意外といけます。速い時で700 MB/sくらい出ます。
- 補足: HDD RAID 5での転送速度について
フォーマット直後だと800 MB/sくらい出ていましたが、使用しているうちに気づけば500 MB/sほどまで落ちていました。たぶんディスクの中心部分も使っているからなのかな?タイミングによってはもうちょっと速くなったり遅くなることもあると思います。でもこの辺が下限な気がします。
2倍速や3倍速で動画再生したりシークバーを高速で動かすとカクつくことはあるんですが、これはM.2 SSDでも起きているので、グラフィックボードの性能に問題あるんじゃないかと思っています。再生しただけで負荷が50%以上ありますからね。
確かに4K25pでもちょっと厳しいという評価は受けているんですけど、よほど複雑な編集ではない簡単な動画ならこれで十分です。まぁ本音を言えばSATA SSDのほうが騒音も出ないし、消費電力も圧倒的に少ないので安ければそっちを使いたいところではありますが、価格次第というところ。
キャッシュ生成はM.2 SSD
レンダリング、キャッシュ生成、最適化メディアの生成などはHDDよりM.2のほうが明らかに速いし作業効率も上がるので、使い分けがオススメです。
- HDDは読み出し専用
- M.2 SSDにキャッシュやレンダリングを書き込む
こういうふうにデータの流れを一方向にしておけば、HDDの読み込み帯域を6Gbpsフルで使えるし、理に適ってると思うんですよね。
また、SSDだけで動画編集して、編集し終わったらHDDに移すという使い方もできます。
私は現在1 TBを使っていますけど、これは最低でも2 TB、出来れば4 TBあったほうがいいと感じます。
例えば最適化メディアを生成中に容量が上限に来てしまうと、イチからやり直さなければならないからです。レンダーキャッシュでも大量に容量を使うので、なるべく余裕を持ったほうが良いです。HDDへのレンダーキャッシュの書き込みはM.2 SSDへの書き込みに比べて明らかに遅いので避けるべきです。
とにかく速度を重視するなら下のSSDがオススメ。一般的なものよりも2~3倍高速です。
- シーケンシャルリード: 7000 MB/s
- シーケンシャルライト: 5100 MB/s
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