『美味しんぼ』第15話「直火の威力」の感想
1989年2月13日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第15話「直火の威力」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第16話)
あらすじ
ソン・ファンランの相談
山岡と栗田はソン・ファンランから食事に招かれ、横浜で会食をします。
ソン・ファンランによると、屋敷で雇っていたクックのワンと娘のメイメイが恋仲になり、両親が反対すると駆け落ちしてしまったという相談を受けます。
2人は蒲田駅近くのガード下で大王飯店という小さな中華料理店を営んでいました。
山岡と栗田は大王飯店を訪れ、カエル料理、中国野菜の炒めもの、炒飯を食べて料理にケチをつけます。(でもこれには理由があった)
- 宋芳蘭(ソン・ファンラン, Sòng fānglán)
横浜で貿易商を営んできた在日華僑の有力人物である周懐徳(周大人)の妻。第13話「手間の価値」にもチラっと登場している。
- 周梅美(メイメイ, Zhōu méiměi)
周懐徳と宋芳蘭の娘。
- 王小竜(ウォン・シャオロン, Wáng xiǎolóng)
漫画版では王 士秀。周懐徳の邸宅でクックとして雇われていた若者。アニメではウォンと発音されているが、普通話の中国語ならワン(Wáng)と発音する。
広東同郷会の融資
現在では、母親のソン・ファンランは2人の結婚には賛成に傾いていました。
夫の王は、同じ出身同士で助け合う華僑のしきたり・慣習で、同郷会の融資を募っていました。会長は周懐徳ですが、副会長の陳陸雄から力添えを受けていました。
- 陳陸雄(チャン・ローホン)
広東同郷会の副会長。(会長は周懐徳)
道場を持ち、正統な中国拳法を教える武術家。(でも普通、陳陸雄は[Chén lùxióng, チャン・ルーシォン/ルーション]と読む。←中国人の友達にも確認した)
2人の結婚に反対していた周懐徳も陳陸雄の動きまでは止められなかったようです。しかしソン・ファンランには懸念がありました。
その懸念とは、融資の条件に料理の審査を持ち出し、その審査を利用して周懐徳が融資を差し止めるのではないかということです。そこでソン・ファンランは、第13話で美味しいトンポーローを作った山岡たちに味の出来を確認させたのでした。山岡が料理にケチをつけた理由はここにあります。
審査
様々な料理を提供すると審査員一同は料理に満足していましたが、周懐徳は炒飯を作るように要求します。しかし王が出した炒飯はパラパラではなく、ベタベタしていて互いがくっついて、王には融資しないと告げられます。
山岡は間に入り、もう1度チャンスを与える代わりに、もし失敗したら娘を返すという話を(断りもなしに勝手に)つけます。でも王はこれを受け、もう一度挑戦することを誓います。
炎の主人
山岡は炒飯を作る手本を見せて、「米が空中を舞うことで直火に炙られないとパラっとした炒飯にならない」と教えます。
王は妻をお嬢さん、義母を奥様と呼ぶ自分の不甲斐なさと、炎を御し切っていなかったことを悟り、再チャレンジして周懐徳を納得させます。周懐徳は3000万円、周囲の人間も1000万円、500万円、1500万円、2000万円、800万円、1200万円、1500万円、2500万円など、合計で1億5000万円の融資を受けることになりました。(実際の計算では1億4000万円なので、何も言わなかった陳陸雄が1000万円ということなのかな?)
王は覇気を持ち、妻のことを「メイメイ」や「お前」と呼ぶようになり、梅美もそれを喜ぶのでした。
感じたこと
ご飯がパラっとする理由
士郎は炒飯がパラパラになる理由について、「鍋を振って空中を舞うときに直火で炙られ、余計な油が飛んでパラっとなる」と説明しています。
この理論、2018年だったか2019年に坂上忍が出てたTV番組でもこれを参考にしたんじゃないかってくらい同じことをナレーターが解説してましたけど、絶対違いますよね!?
米同士がくっつかずにパラパラした食感になるのは、大抵次の2つが寄与していると思うんです。特に卵のコーティング。
- 米の表面が揚げた状態になるから
- 卵でコーティングされるから
そもそも直火には当たりようがないし、パラパラチャーハンが至高だなんていうのはパラパラチャーハンが好きな人の論理であって、しっとりチャーハンが好きな人だっているのにあまりに横暴な話の進め方ではありませんか!?
まぁどっちかといえば私もパラパラのほうが好きですけど。
使用人根性
士郎は王さんに発破をかける、焚き付ける目的で「妻をお嬢さん、義母を奥様と呼ぶ使用人根性でいるから、炎にも負けるんだ」みたいなワケのわからないこと言ってますけど、その理屈だと使用人として雇われているクックはみんな炎の扱いきれない下手な料理人ということになってしまうではありませんか!?
太極炒飯 (黑松露蛋白炒飯)、好きやわ~
Youtubeにはチャーハンを作る動画が山のようにありますけど、中でも私が好きなのはこの動画ですね。こういうところが見ていて気持ちいい↓
竹のササラとお湯の沸騰で中華鍋を綺麗にする
卵の白身を油で揚げたあとに湯通しして余分な油を落とし、最後に炒飯に加えてプリプリした食感を加えている
イキって鍋を振って、大量の米粒を周囲に飛び散らかすことがない
一気に大量に作っているのにパラパラ感というか、しっとりしてるけどほろっと崩れる感じがしっかりある
自分でもよく作るんで分かるんですけど、たとえお米を固めに炊いたとしても、大人数分を作ろうとするとどうしてもベチャっとしてしまうんですよね。多くの動画は1人前~2人前くらいの少量なんですけど、それって割と家庭のコンロでもパラっとできます。
で、我が家では山田工業所の中華鍋(33 cm)を使っていてこれが実に良い!実際使ってみて感じたのは、収納スペースさえ確保できるのであればなるべく大きいのを買ったほうがいいってことですね。中華鍋は大きさが正義です!
なぜかというと、たくさんものを入れてひっくり返す時に断然こぼしにくいし素早く混ぜやすいからです。素人なら鍋は振り回さないほうが賢明です。重たくて腕が疲れるし、家庭用コンロだと火から離れるとすぐに鍋の温度が下がるからです。だから重さはそこまで気にしないほうがいいかもしれません。
この山田工業所って、タモリ倶楽部の2010年9月17日放送分で「中華街シェフ絶賛」と紹介されて以降人気だそうで、私もその1人。めちゃくちゃ気に入っています。本当に頑丈な作りで、焦げ付きにくくて最高です。
前までは混ぜるのにお玉(同じ山田工業所製)を使っていたんですけど、太極炒飯の動画みたいに中華ヘラを使ったほうが断然混ぜやすいのでオススメです。お玉だと中にくっついたり、容量が大きいので重くて疲れます。
パラパラとパサパサのはき違え
パラパラにしたいがために、ひたすら炒め続けて水分を飛ばす人がいます。確かにパラパラにはなりますけど、同時にパサパサで食感が悪いんです。しかもご飯が固くなってて、ご飯をコーティングしている卵も焦げ気味。そういうチャーハンくらいだったら、しっとりしてるほうが好きですね。
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