『美味しんぼ』第61話「黒い刺し身」の感想

1990年7月24日放送、アニメ版の『美味しんぼ』第61話「黒い刺し身」をアマゾンプライムビデオで観ました。(美味しんぼTVシリーズ第74話)

あらすじ

中国残留孤児

テレビでは、肉親探しのために来日した56名の中国残留孤児の身元が河田伸司アナウンサーに紹介されていました。
当時、満洲国にあった東安省などの出身者らに混じって奉天市K村出身者として蔡進栄(サイ シンエイ)の名前が挙がり、富井は咄嗟に「隣に住んでいたコグレさんとこの良一くんだ」と声をあげます。

奉天市

かつて清朝の都として盛京と呼ばれた。満州事変をきっかけに関東軍に占領されたのち、1945年に満洲国が解体されると同時に消滅した。現在の遼寧省瀋陽市に相当し、朝鮮半島の東側の付け根に位置する。

ところが人違い。富井は1945年7月に引き上げ、蔡は入れ違いで満州へ移住していました。これも何かの縁、と富井は蔡の肉親探しを手伝うことにします。
蔡の持つ手かがりは、4歳までに見た魚と景色でした。

  • 白い綺麗な身の魚の刺し身
  • 黒っぽくてとろりとしてコクのある魚の刺し身
  • 海のすぐ近くで、左手沖には島、はるか水平線の向こうには半島か岬のような陸地が見える

しかし、寿司屋の夏子どころか、築地市場で50年魚屋をやってる「魚佐田」の店主にも見当がつきません。

蘇る記憶

山岡が見出したのは神奈川県横須賀市長井で見たカワハギ。白い刺し身はカワハギの身、黒い刺し身はカワハギの肝というわけです。

蔡は一口食べた途端に箸を落とすや「この味だ」と確信し、更には、そのカワハギを近所の漁師が持ってきてくれたこと、父が佐島小学校の関本先生ということまで思い出します。

後日、東西新聞社を訪ねた姉の悦子と抱擁を交わします。蔡の幼少期の日本での名前は関本晃一でした。

登場した料理、食材

カワハギの刺し身と肝

蔡、両親、姉の悦子の4人が戦時にも日本で食べた刺し身。

感じたこと

夏子と魚佐田の店主

第34話「女の華」では、くずヒラメを買わされた夏子が「とんちき野郎」と罵っていた「魚佐田」の店主でしたが、この回では夏子を「なっちゃん」と呼ぶほど親しい仲になってました。

神奈川県横須賀市佐島

佐島から南西の海を臨むと・・・。
左手沖に見えた島は大島で、はるか水平線の向こうに見えた半島か岬は伊豆半島のことだったんですね。

視聴していて真っ先に浮かんだ黒い刺し身はノドグロで能登半島だったんですが、ノドグロ(赤ムツ)の黒は刺し身では見えませんし、左手沖の島に説明がつかなかったんですよね。