映画『天使のくれた時間』を観た感想(ニコラス・ケイジ主演)
アマゾンプライムビデオで映画『天使のくれた時間』を観ました。これが思いがけず良い映画でした。途中までネタバレ無しで書きます。
最初は「あれ?ニコラス・ケイジ+天使ってメグ・ライアン出てるあれか」と思ったら違った。それはシティ・オブ・エンジェル(←アマゾンプライムビデオ)でした。
概要
タイトル | 原題 | 初公開日 | ジャンル | 時間 | 国 | rating | 制作費 | 売上 | 監督 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
天使のくれた時間 | The Family Man | 2000年12月12日 | ファンタジー | 125分 | アメリカ | 15歳以上対象 | 6000万ドル | 1億2474万5083ドル(全世界) | Brett Ratner |
制作費が6000万ドルってめっちゃ掛かってます。例えば直近に見た映画ラスト・ベガスは2800万ドル、ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイが出てるマイ・インターンも3500万ドルで2倍近い。(まぁタイタニックは3億ドル近いんですが)
あらすじ
ニューヨークのウォールストリートで鞘取りをする金融企業の社長ジャックは、ある日天使に出会い、「きらめき」を見せられます。その「きらめき」とは、金融企業の社長にはならず、学生時代の恋人と庶民的な家庭を持つもう1つの人生です。
この映画は吹替版がオススメ
字幕版と吹替版の両方を見ました。どっちかというと洋画は字幕版が好きなんですが、これは吹替版も良い。字幕版の雰囲気を壊すことのない見事な吹き替えです。珍しい!すばらしい!
特に大塚明夫の吹替が非常に良い。冒頭のヴェルディのリゴレット(オペラ)の歌声がそっくりなのにもびっくり。それでまぁ、リゴレットと言えばルチアーノ・パヴァロッティと相場は決まってるものでして。
Giuseppe Verdi – Rigoletto – Pavarotti, Gruberova, Wixell – Chailly
字幕版だとニコラス・ケイジのこれが聞けるし、吹替版だと大塚明夫のこれが聞けるという両得。
2つの声はそっくりすぎて、初めて吹替版を見た時はニコラス・ケイジの声をそのまま使って編集で大塚明夫に似せてるのかと思ったんですが、何度も聴き比べてみると高音域とかメロディのタイミングが違う。でもめちゃくちゃ似てる。
- ジャック:大塚明夫(攻殻機動隊のバトーさんの声)
- ケイト:田中敦子(SAC_2045の草薙素子の声)
- キャッシュ:高木渉(コナンの元太くんの声)
また、吹替版を勧めるもう1つの理由はキャッシュ・マネーと初めて遭遇した時の緊張感。字幕版は刺激が強すぎてあんまり好きじゃない。というかもっと違うシチュエーションでも良かったはず。
ケイトがめっちゃ可愛い
ヒロインのケイトを演じているティア・レオーニがめっちゃ可愛い。冒頭の空港のシーンでは何も感じなかったのに、ストーリーが進んでいくにつれてどんどん魅力的になっていくんです。それだけで飽きが来ない。
ジャックを愛してやまない、一言でいうと最高の女性。撮影当時(2000年)、ティア・レオーニは34歳。
作中に登場したウイスキー
タイヤ販売店の事務所のデスクの引き出しに入っていたのはグレンリベット12年。飲んだことがありますが、凄く美味しいスコッチウイスキーなのでオススメです。良かったらレビューも書いたので読んでみてください。
私が飲んだのは2019年ですがこれは作中と同じデザイン。でも2020年には既にボトルデザインが変わっていますね。
疑問点
ここからネタバレあり
疑問点や矛盾点を無視して楽しめる映画だと思います。が、一応挙げると。
なぜ天使は「きらめき」を見せたのか
なぜ天使はあんな行いをして、ジャックに「きらめき」を見せたのか。が、これは映画の終盤で垣間見ることができなくもありません。
娘のアニーにベルを鳴らされた後にジャックが塩を買いにいくと天使のキャッシュがレジ係をしていて、そこで青い帽子を被った女の子が99セントのコーラを買うのに1ドル札を出して9ドル1セントのお釣りを受け取ります。
キャッシュは1ドルを渡されたのに10ドル札のお釣りをわざと彼女に渡しますが、彼女はそれが間違いだと指摘せずにネコババします。キャッシュは「9ドルも黙ってガメやがった」と言ってメモ帳に何かを記します。(ガメる=ちょろまかす)
振り返ってみると、映画の冒頭で初めてキャッシュが現れたお店でも、キャッシュは店員に「馬鹿なやつだ まじでよ 本物だったのに チャンスを不意にしやがって」と捨て台詞を吐いて店を出ます。
つまり天使の仕事は、人間の善意や悪意を試してそれをデータベースに記録することだったみたい。だから冒頭においてジャックが200ドルでロトを買い取るビジネスを持ちかけたことを高く評価して、「天使の厚意」でジャックに「きらめき」を見せたということと受け取れます。でも天使が「きらめき」を発動するきっかけの会話を始めたのはジャックだし、そもそも最初は自業自得みたいなスタンスで会話してるんですよね・・・そこがどうもすっきりしない。
ベルの意味
「きらめき」が始まった時、ジャックはキャッシュから赤い袋に入ったベルを渡されます。そして序盤に娘アニーにベルを奪われ、終わりが近づくとアニーが自転車に乗りながらベルを鳴らします。
結局どう意味があったのかさっぱり分かりません。ベルを奪い返すことも出来たはずです。「きらめき」の終わる間際にベルが鳴ることが決まっていたのだとすると、予定調和の中で過ごしてたってことなりませんか。
贅沢=悪?
この作品については「贅沢を悪として、平々凡々に暮らすことを良しとする流れが嫌い」と感じる人もいるようです。プロパガンダ的な匂いっていうか。でもそれはどうかな??
確かに「金持ちだけど孤独 vs 質素だけど愛に満ちた家庭」の対立構造の中でジャックが選んだのは後者だったので、そうとも取れます。でもラストはお互いに裕福な2人が歩み寄るハッピーエンドなので、最終的には「やっぱりお金の有る生活の方がいいよね?」という話とも取れます。
そして、もしその手のプロパガンダの意図を込めるんだとしたら、「質素だけど愛に満ちた家庭」をハッピーエンドに据えると思うんです。結局これらの解釈は「取りたい人が取るように取る話」だと思うんですよね。
エッグノッグって何?
エッグノッグ(Eggnog)とは、牛乳をベースに、クリーム、砂糖、溶き卵に、挽いたシナモンとナツメグで味を付けた飲み物のことで、ラム酒、ブランデーやウィスキーなどのアルコールを加えたエッグノッグもあります。 北米ではクリスマスや新年に飲まれます。日本の甘酒みたいな感覚なんでしょうか。
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